復活間近?ソニーへ「これだけは言いたい」 プロ経営者でも"面白さ"を追究できる?

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そのSF映画は1960年代に上映された『ミクロの決死圏』という作品。脳に障害を起こした要人を救うべく、ミクロ・サイズに縮小された科学者グループが特殊潜航艇プロテウスに乗り込み体内に入り、病気と闘うストーリーです。

その特殊潜航艇で使うネジを作りたいとの発想から、ミクロな製品開発を試みたようです。当方としては「……」。なんとも返答できず、あぜんとしたことを覚えています。

「遊び」のある経営がどうして続けられるのか

このような、業績の向上につながるか「微妙」だと思える仕事に精を出す姿勢に驚いたものでした。現在も「遊び」のある会社経営が行われているようですが、どうしてそれを続けられるのか。それは、社長が面白いものづくりが好きであることと、加えて

「株式支配力」「内部留保力」

に関して優位性があるからです。

たとえば、松浦元男社長は面白いものづくりが大好き。だから売れそうにないミクロなネジの開発に投資をします。ただ、それができるのは、株式支配力と内部留保力を持っているからでもあります。

オーナー企業であることに加えて、1年や2年、仕事がなくなっても、全社員に給料を払うだけの資金的な余裕があるキャッシュリッチな会社。ゆえにステイクホルダー(利害関係者)の介入で面白いものづくりに対する反対意見に耳を傾ける必要がありません。

銀行借り入れが多ければ、「無駄な開発は控えるように」と言われることも多くなります。もし支配力のない状態なら、株主に対するアカウンタビリティ(説明責任)で手間もかかることでしょう。振り返れば、ソニーが面白いものづくりをしていた当時は、同様の環境が整っていたのかもしれません。

とすると、合理性を重視する”プロ経営者“がマネジメントする「現在のソニー社」で面白いものづくりを重視するのは不可能でしょうか。

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