マレーシア移住、どうする?子供の健康問題 現地で小児科医を続けるリウ博士に聞く

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──学校の体育の授業が十分ではないという親もいます。

この国の学校では、テスト勉強などのアカデミックな勉強が強調されすぎているのではないかと思います。本来、成長には頭の成長と共に、体の成長も必要なのですが、ここでは体の発育に必要な運動が足りていません。筋肉を作ったり、骨を強くするために、子どもは遊ばせなくてはなりませんが、多くの学校でそれが十分ではない。

ですから、小児科医として、この役割は親が担うべきだと考えます。具体的には運動する機会を自ら作らないとならないのです。

バドミントンが盛んなマレーシア

リウ・プー・チェン博士●マラヤ大学、英国スコットランドのエディンバラ大学で医学を勉強し、7年間の政府系の病院で勤務医として働いたあと独立。KL郊外のスバンジャヤに子ども専門の病院「クリニック・パカー・カナックカナック・リウ」を開業して21年になる。著書に『Common Medical Problems in Children』がある。

──たとえばどんな運動が可能でしょうか? 日本人ではサッカーや野球が好きな子どもが多いようです。

日本で人気のあるサッカーや野球はそんなに盛んではありませんが、マレーシアにもたくさんの運動の機会があります。

たとえば、バドミントンは非常に盛んで、バドミントンのコートはどこでも見つけることができます。また、多くのコンドミニアムでは卓球やスイミングを楽しむことができると思います。テコンドーや中国武術などの武術も盛んです。公園に行けばサイクリングやフリスビー、スケートボードで遊ぶ機会があります。ランニングもよいでしょう。

──アウトドアの遊びも楽しむことができますか?

はい。ピクニックや山登り、滝下りやテーマパークなど、屋外でのアクティビティに参加するのもいいと思います。

──子どもが遊びたがらないときはどうすればいいでしょうか。

親がその重要性に気がついているかが鍵です。それにこうしたアクティビティには親も一緒に参加することが重要だと考えます。プールで子どもを遊ばせて、親同士がおしゃべりしているのではなく、一緒に参加してコミュニケーションをとることが重要です。できれば、1日最低1時間は、運動する時間を設けてほしいと思います。

──食べ物に関してのアドバイスはありますか。

加工食品やファストフード、炭酸飲料の取りすぎに注意してください。

外食にもそれぞれ問題があります。たとえば、インド料理のカレーにはギーなどの油が大量に入っており、脂質を取りすぎてしまいます。白米も炭水化物ですから、取りすぎは問題です。マレー料理では、多くの料理にココナッツオイルを使いますが、これも非常にカロリーが高い。中華料理は料理の状態によりますが、揚げ物や炒め物など油っこいことがあります。

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