「日本の社史」の装飾をフランス人も認めた!

千島土地の100周年記念誌は、ここがスゴイ

『千島土地株式会社設立100周年記念誌 日本語版』(神奈川県立川崎図書館 蔵)

今回、取り上げる『千島土地株式会社設立100周年記念誌 日本語版/英語版』(2012年刊行)は、印刷技術やデザイン等が評価され、社団法人日本印刷産業連合会主催の第54回全国カタログ・ポスター展で経済産業省商務情報政策局長賞を受賞しました。また、2014年には、パリ装飾芸術美術館に日本語版が収蔵されることとなりました。

千島土地は大阪に根ざした企業です。現在は、所有する土地建物の賃貸事業、航空機のリース事業、そして地域の活性化事業などを行っています。
 そもそも千島土地は江戸時代に唐物商(貿易商)として財を成した芝川家が、明治初期に大阪の沿岸部の新田経営に乗り出し、やがて会社を設立しました。社名の「千島」は経営した新田の名前に由来します。

グラデーションに込められた思い

日本語版の社史は、グラデーションのきれいな色合いの表紙です。これは日の出から日没までの1日の空の色を表現したもので、100年という月日も1日1日の積み重ねであるというメッセージが込められているそうです。外函の内側にもグラデーションが用いられていて、デザインへのこだわりを感じます。

本編は、絵本風の「ここにある」という物語から始まります。工場、造船所、新田と、木津川の河口周辺の歴史の移り変わりをたどっていく内容です。会社の歴史を説明する前に、地域との関わりをイメージしやすくして、読者の興味を喚起させる意図を感じました。

ついで創業以来の歴史を述べた「千島土地の歴史」へと進みます。「千島土地の歴史」は、時代ごとに14の章で構成されています。章間の4カ所には見開きで「地図年表」が挿入されています。その時代の大阪市の地図を見開きで載せ、千島土地が手掛けた事業や、大阪での主な出来事が図示されています。社史では、あまり例をみませんが、地域とのつながりの深さがよく伝わる手法だと思いました。

次ページすっきりとしていて丁寧な作り
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