イタリア人は、あの日本食が大好きだった ナポリで人気を呼ぶ「スリミ」の正体とは?

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南イタリア最大の都市ナポリ。この街角ですり身について聞いてみたところ、現地の人はたいていがスリミを知っていた。

やってきたのは、南イタリア最大の都市ナポリ。

ナポリの美しさは『ナポリを見て死ね』という言葉があるほどで、市街地自体が世界遺産に登録されるすてきな観光都市。

この街角ですり身について聞いてみたところ、現地の人はたいていがスリミを知っていた。取材班が事前に想定していた以上の知名度だ。

ナポリでスリミが人気の理由

そして訪れたのは、ナポリにある冷凍食品専門のスーパー。特徴的だったのは、冷凍の野菜がたくさん置いてあったこと。中でも人気は冷凍ほうれん草。さらに、日本では珍しい冷凍キノコや冷凍ニンニクまで。働く女性が多いイタリアは、簡単に調理できる冷凍野菜が重宝されている。

そして肝心のスリミだ。レジを観察していると、わずか10分間に7人のお客がそれを買い求めていった。そのスリミを手に取ってみると、なんだかカニの身のように見える。だが、カニではない。その正体とは「カニカマ」だった。色や形、食感をカニの身に似せたかまぼこ=魚肉練り製品だったのだ。ナポリのスーパーには、エビやロブスターに模したスリミもある。

そもそもカニカマは日本の会社「スギヨ」が1972年に開発した食材。原料は、白身魚のスケトウダラだ。その作り方は、まずスケトウダラの身をほぐしカニエキスを混ぜ生地を作り、その生地を1ミリメートル以下の板状に伸ばし加熱。そして繊維質のカニの食感を出すために、切れるか切れないかの絶妙な切り込みをいれていく。このさじ加減がポイントで、1本1本にカットし、トマト・パプリカなどの着色料で味付けする。試しに食べてみるとカニほど軟らかくないものの、カニ風味がついている。

日本ではサラダで食べることが多いカニカマだが、イタリアの家庭で

家庭ではコロッケの具にカニカマが入っている

は、どうやって食べているのか? カニカマ=スリミが大好きなご家庭にお邪魔すると、食卓に出てきたのはバジルを細かく刻んだバジルとオリーブオイルが利いたコロッケ。さらにはカルパッチョ。イタリア風味が食欲をさそう逸品である。

別のお宅で冷蔵庫を見せてもらったところ、大きなビニール袋にたっぷり詰め込まれた大量のカニカマが。実は、イタリアではカニカマを量り売りしており一度にたくさん買う消費者が少なくない。

次ページでは外食ではどうなのか
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