日活は「妙義山」のような映画会社を目指す 「極道大戦争」宣伝プロデューサーに聞く

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――『極道大戦争』の予告編には、「特報」と「予告編」の2種類がありました。

予告編を2段階に分けて出そうということは最初から決まっていました。昨年5月から撮影していて、映画本編が完成したのは今年の初め頃。予告編の展開としては、いちばん初めの特報は昨年の暮れに出しました。昨年11月15日に三池監督の最新作『神さまの言うとおり』という作品が公開されたのですが、この作品の看板は当然、三池監督の最新作であるということ。ですから、『神さまの言うとおり』を見に来た人に次の三池作品はこれですよ、といったことをアナウンスしたかったんです。

――『神さまの言うとおり』の初日アンケートでは、若者層の割合が80%以上を占めたという結果だと聞いています。まさに若い人にアピールするには絶好の場だったかもしれません。一方で、ポスタービジュアルの狙いはどうだったのでしょうか? まさにおもちゃ箱のようにいろいろなものが詰まって、映画の内容を的確に描写したビジュアルだったと思うのですが。

おもちゃ箱のようなビジュアルというのは、そのとおりです。いろいろな要素がある作品なので、B1サイズという限られた空間に、この作品が内包している、ありとあらゆる要素を入れられるだけ入れたいなと思っていました。

4月16日に公開されたポスター(C) 2015「極道大戦争」製作委員会

――映画を見終わった後にあらためてポスターを見ると、楽しさも倍増します。このポスターの制作スケジュールはどのような感じだったのでしょうか?

ポスターを作ったのは年が明けてからです。2月にKAERUくんを前面に押し出したポスターを作りました。その後、現在まで使っているメーンのポスターを作りました。ちょうどこの映画のメーン館となるTOHOシネマズ新宿が4月17日にオープンすることになり、多くのお客さんが来場することが予想されたので、それに合わせてポスター・予告編を展開したという感じですね。

「まさかのカンヌ」がプラス材料に

――カンヌ国際映画祭出品が決まったのは、メーンのポスターを制作した後ですか?

後ですね。カンヌが発表されたのは4月の下旬頃だったと思います。カンヌが決まったということで急きょ、カンヌバージョンのポスターを作ろうということになりました。

――カンヌ出品が決まったことで、宣伝戦略に変更は?

戦略を変えるというよりも、宣伝の要素が増えたという方が大きかったですね。やはり三大映画祭と呼ばれる映画祭の中でも、カンヌのネームバリューは群を抜いている。それは宣伝で言わないわけにはいかないですよね(笑)。宣伝の柱となる部分は、噛まれたらヤクザになるというオリジナリティーあふれる作品であるということ。主演の市原隼人さんはもちろんのこと、三池崇史監督がそういった作品を手掛けているということ。そしてそこにもうひとつ、カンヌという柱が加わったなという感じでした。ポスターも、カンヌにいったからといって表現を変えるわけではなく、元のビジュアルをベースに「まさかのカンヌ~」と、カンヌの要素を加えたものにしました。

――カンヌといえば、現地に行けなかった三池監督が、ビデオレターで芸者姿を披露したことが話題になりましたが。

あれはわれわれもビックリしました。しかし、現地ではとても喜んでいただけたようで、カンヌに行っていた日本のメディアの方からも、お客さんが大盛り上がりで非常にすばらしい上映だったと聞いています。

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