新型デミオで見えてきた、マツダのサバイバル戦略

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 マツダの世界販売シェアは2%にとどまる。それでもマツダが独自ブランドとして生き残るためには、特徴ある製品が不可欠--。金井誠太副社長(当時専務)をはじめとしたマツダ技術陣は、フォードの経営陣をそう説得した。

もう一つ契機となったのが、欧州の新しい環境規制だ。欧州では12年にCO2の排出量が130グラム/キロメートル以下に制限される。3割程度の改善が必要で、「すぐに開発を進めなければ、とても間に合わない水準だった」(人見光夫パワートレイン開発本部長)。

とはいえ、一般に新技術の開発には莫大な資金が必要になる。関連会社の業績が悪化しては、フォードとしても承諾はできない。そこで技術陣が選択したのは、開発と同時に生産効率をも高める戦略だった。

マツダはスカイアクティブによって、エンジン、トランスミッション、シャシーなど自動車の基本構成部分を一気に刷新する。デミオに搭載されたのはエンジンだけだが、今後の新車には新技術を順次搭載し、16年3月期にスカイアクティブ技術を約8割の新車に導入する計画だ。

車の大きさにかかわらず基本構造を統一化すれば、開発効率が大幅にアップする。部品の共通化が進めば、異なる車種を同一ラインで生産する混流生産をしやすくなる。こうした「モノ作り革新」によって、開発効率で30%以上、コストで20%程度の改善を狙う。すでに5年間の実績として「開発効率の目標は達成した。コスト削減もほぼ手中に収めつつある」(山内社長)。


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