成長へ舵切るブラザー、試される“新事業創出力” 新しい5カ年計画を始動

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現在、大手EMSが求める精密さと高速性を実現できる小型MCを造ることができるのは2社しかない。最大手が「ロボドリル」を擁するファナック。そのファナックを追いかけるのがブラザーだ。

10年3月期に152億円だった小型MCの売り上げは11年3月期には423億円へ急拡大。12年3月期も大幅な拡大が見込まれており、現在のブラザーの成長柱だ。

製造拠点は、刈谷のほかに中国・西安にもある。西安では13年4月に大型の新工場を稼働させる計画だ。「刈谷でも中国でもまったく同じものを造っている。メイドインジャパンでなければ困る、という注文もあるにはあるが、これからは地産地消を増やしていく」(川那辺氏)。

市場全体が拡大している最中だが、シェアアップ作戦にも取り組んでいる。ライバルのファナックは、どちらかというと指定された製品を納入するだけの売り切り型のビジネス。

それに対し、「お客さんの工場に入ってきめ細かくアドバイスするのがブラザーのスタイル。問題を解決するソリューション営業を強化することで、シェアアップを図っていく」(星真・産業機器営業部長)。

ブラザーが手掛ける産業機器事業は小型MCのみだが、将来はラインナップを強化する計画もある。「今は一つしかやっていないが、はたしてこのままでいいのかどうか。同じお客さんに売っていけるような装置をM&Aでそろえることも検討している」(小池社長)。

ブラザー自身が内製しているCNC(コンピュータユニット)の外販など、発展の方向性はいろいろ考えられる。5年後の計画は650億円と控えめだが上乗せは可能だろう。

カラオケからは新しいビジネスも

もう一つ、成長のカギを握る異色の事業がネットワーク&コンテンツ(N&C)事業だ。

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