モスの低価格カフェ「MOSCO」は何を狙っているのか?《それゆけ!カナモリさん》

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モスの低価格カフェ「MOSCO」は何を狙っているのか?《それゆけ!カナモリさん》

 

■MOSCOの狙いとは…

 7月21日に東京ウォーカーが「モスがセルフスタイルのコーヒーショップ『MOSCOを板橋にオープン!』との記事を配信した。

「MOSCO」は「モスのコーヒーショップ」を表しているというが、上記記事によれば、「1号店となる店舗は『低投資』『新立地』『スピード提供』を開発コンセプト』としているという。

コーヒーショップの商品(Product)は、飲み物とフード、店舗空間であるが、MOSCOのメニュー構成は大規模な店舗設備を不要とするため「コーヒー」とオリジナルの「白いトマトジュース」(←ちょっと謎。話題性喚起のキモか?)を中心に、「ホットドッグなどの軽食メニュー」とシンプルなメニュー構成に徹している。店舗は面積約9坪と小規模ながら、快適性を高めるため全席禁煙であるという。その商品を提供する価格(Price)は、200円台を中心とした低価格に設定している。

さらに、立地(Place)は、「エキナカ、空港、書店併設など、新たな立地に出店を積極的に進め、2012年度までに5店舗の出店を目指す」と記事にある。

カフェ人気であるが、世の中のカフェの1種類は高~中単価である「シアトル系」で、完全禁煙の「スタバ」、分煙(完全分煙と不完全分煙は店舗によって異なる)「タリーズ」など。もう1種類が、低価格・分煙(完全分煙と不完全分煙は店舗によって異なる)の「ドトール」「ベローチェ」などだ。「低価格で完全禁煙」というポジションがホワイトスペースであることがわかる。「ちょっと小休止する程度だからあまりお金はかけたくないけど、タバコはイヤ!」というニーズギャップに応えているカフェは意外と少ない。それを、モスフードサービスはフランチャイズの投資負担を小さくして、スピーディーに展開していこうという狙いなのだろう。

モスのカフェといえば、銀座7丁目に展開している「モスカフェ」があるが、上記は定番メニューに絞り込んでいるとはいえ、バーガーなど通常店のメニューも置いている。また、全くの別ターゲットを狙っているというより、ターゲット層を通常客に加えてカフェ&スイーツ愛好客に拡大したのではないかと考えられる。

今回のMOSCO、フードはホットドッグなどで基本のバーガーも置かない。また、ポジショニングコンセプトは記事にあるように、「“元気充電コーヒーショップ”」である。ターゲットはエキナカ、空港、書店併設などの好立地=通りがかりに、短時間の休息=充電をしたい人に設定されている。「ファストフードとはいっても比較的ゆっくり食事をしたい」という従来のモスの顧客とは、かなり異なる層を狙っているようだ。

 

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