米国の人種差別は「旗」を下ろしても消えない 「白人家庭は黒人家庭より7倍裕福」という事実

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マーヴィン・マルカノは、ミズーリ州ファーガソンで白人警察官によって射殺された黒人テーネイジャー、マイケル・ブラウンの殺害事件について抗議行動を支援してきた。彼は政治家たちが旗の撤去を求めることを、特にサウスカロライナの白人議員は以前にはそんな行動は絶対支援しなかったが、「安っぽい政治的なブランド化の機会」と表現する。

4月に25歳黒人男性フレディ・グレイが警察の護送車の後部で死亡したボルティモアでも、旗にばかり注目すると他の重要な問題がわきへ押しやられてしまうと懸念する活動家がいる。

「旗を降ろすことは黒人の生活をより良くすることにはなりません。」と、ボルティモアを拠点にするリーダーズ・オブ・ビューティフル・ストラグルの公共政策ディレクター、デイヴォン・ラヴは言う。

進むべき道は黒人の市民団体を作り、黒人の命を守る法律や政策の変更を主張できる人をより多く教育し力を与えることだと、彼は説明する。

いつも簡単な逃げ道を見つけようとする

グレン・マーティンは多くのアフリカ系アメリカ人が目の当たりにする運命を経験してきた。現在42歳の彼が少年時代を過ごしたのは、1980年代と1990年代の犯罪が多発するニューヨーク地域ベッドフォードストイヴェサント。彼は混血児で、3人の子供を持つ黒人のシングルマザーである母親は生活保護を受けていた。彼は職場では、いつも白人の同僚から人種的な嘲りや侮辱を受けていたと言う。

結局彼は、銃を突きつけて強盗する犯罪に走り、刑務所に出入りする人生を送るようになった。最終的に30代のとき彼は生活を一変させ、現在ではアメリカの刑務所人口を減らそうと活動している、ジャストリーダーシップUSAという支持グループで働いている。

「多くの黒人の生活は、生活保護システムと刑務所システムを行ったり来たりするサイクルなんです」と彼は言う。

南部連合旗を除去する動きが助けになるかと聞かれた彼は否定的であった。「我々はいつも組織的な人種差別について困難な議論をするより、簡単な逃げ道を探しているのです。」

(執筆:ティム・ライド記者、追加報告:チャールストンのハリエット・マクラウド記者、バーミンガムのウェイン・へスター記者、編集:ジェイソン・ゼップ、スー・ホートン)

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