日本株はギリシャ問題深刻化でどうなるか ギリシャ二転三転で近づくデフォルト

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なぜ長い夜になるはずが、1時間で散会になったか、という点について、現地では「夜を徹して議論する予定だったため、事務局が夜食にピザを用意した。だが、『ブリュッセル(会合の場所)のピザはまずいから嫌だ』と、イタリアからの出席者が1時間で帰ってしまったからだ」という冗談がまことしやかに語られていると聞く。

世界のマーケットの目は、徐々に米国へ

結局、EU首脳会議の後に再度ユーロ圏財務相会合が6月27日(土)午後(日本時間では28日(日)の午前零時)から開催されたが、ギリシャが国民投票を表明したため、当面支援が打ち切られることになった。30日(火)には、ギリシャからIMFへの15億ユーロの返済期限が迫っており、デフォルトする可能性が高まった。

長い目で見れば、ギリシャ問題は、徐々に市場が取り上げなくなっていくだろう。これまでもそうだが、ギリシャ政府は瀬戸際作戦により債権者側の譲歩を引き出そうと努め、交渉が揉めに揉めた挙句、ギリギリになって譲歩する、ということの繰り返しであった。

今後も、EU等による支援の期限が迫るたびに、ギリシャは今までと同様の「田舎芝居」を何度も繰り返すだろう。先週に続き今週初も、この田舎芝居が短期的には市場を揺り動かす形だろうが、中長期的には、世界市場はギリシャ情勢を、楽観も悲観もしなくなって来るだろう。

ギリシャ情勢が徐々に世界市場の関心事から外れていけば、再度焦点は、世界最大の市場である米国に戻ってこよう。

米国の株価は、最終的には景気と企業収益の回復持続で、業績相場に移行するものと予想される。しかし今の金融相場的な状況から業績相場に移行する間に、中間反落を交えよう。

つまり、FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げやそれを先取りした長期金利の上昇が起こり、その時点でまだ業績が確固たる株価支持要因となり切っていないため、株価がいったん下振れすると見込まれるということだ。

今月は、一時は長期金利上昇と株価下落が米国で同時並行的に起こり、中間反落に本格的に足を踏み入れ始めたように見えた。しかし6月16日(火)から17日(水)のFOMC(米公開市場委員会)で、FRBの利上げが遅れそうだとの観測が市場で広がり、米国株式市況は、中間反落からまた「安住の地」である金融相場に「退行」してしまった。

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