"非"ソフトウェア企業のDX化がこうも難しい理由 デジタル化の「見えない壁」を超えられない人へ

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産業革命が手工業を工場生産に発展させ、やがて大量生産という社会的変革さえも起こしたように、第4次産業革命においてもデジタルの活用により大きな影響を受けているのは既存事業なのだ。

「新規事業」と「既存事業」はまったく別のものではなく、「既存事業」に新しい価値で切り込んでいく「新規事業」もあれば、いくつかの「既存事業」を巻き込んで新しい価値を生み出す「新規事業」もある。

そこで用いられる手段こそが「DX」だ。そして、それはデータ活用のために活用される。

DXが必要な「データ」はどこに?

あなたの会社のどこに「データ」はあるのか?

『日本型デジタル戦略 - 暗黙の枠組みを破壊して未来を創造する』(クロスメディアパブリッシング)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

それさえわかれば、大切な既存事業に新しい価値を与える自社にとっての「DX」が浮き彫りとなり、言語化が可能になる。

「データ」と聞いて臆する必要はない。日本は「ものづくり大国」を自認し、その製品自体が顧客との接点を生み出してきた。製品そのものから顧客のデータを取る仕組みを古くから構築してきた。ここに大きな意味がある。

なぜなら、まったくの新規事業を生み出そうとする現在のデジタル先進企業は、「モノ」を持っていないケースが多いからだ。既存事業には、顧客と結びついた膨大なデータが内包されていることに、多くの経営者が気づかないでいる。

その違いが「新規事業」を生み出す者と、「既存事業」に新しい価値を見出す者に異なる意味を与える。この違いを知り、写実的な自画像を描くための最適な手段を「発明」する必要がある。

ぜひ、この話をあなたの会社と既存事業に重ねてみて考えていただきたい。

柴山 治 株式会社YOHACK Founder & CEO デジタル戦略プランナー 危機管理プロフェッショナル

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しばやま おさむ / Osamu Shibayama

米国ワシントン大学フォスタービジネススクール経営学修士課程修了(Global Executive MBA)。SIerやコンサルティングファームでの経験を経て、メットライフ生命保険で新規部門を立上げ、BCP/BCM成熟度調査で2年連続トップティア部門へと昇華。のちに渡米し、米国シアトルで産官学のネットワーキンググループを主宰。多様性に触れる中で、「日本の衰退」に強い危機感を覚え、「日本を元気にする」仕事に携わるべく帰国。理念への共感からリヴァンプに参画し、執行役員として複数のクライアント先のCIO等を歴任。「人と企業に“余白”が生まれるとき、日本はまた強くなる」と確信し、株式会社YOHACKを創業。

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