東京ガス、「全面自由化時代」の戦略を語った 株主の関心は、新たな競争環境への対応

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東京ガスのLNG船「エネルギーホライズン」号

東京ガスは2015年3月期決算において、発電向けガス販売や電力販売の好調などを主因に、経常利益が1681億円と過去最高を記録。

ただ、米国でのシェールガス開発事業で約240億円、豪州LNG開発事業で約70億円の減損損失を計上。これにより、純利益は前期比12%減の958億円となった。

この特別損失の発表(4月10日)を受け、4月上旬に一時800円を超えていた株価は急落し、現在も670円台で推移している。そのため、株主からは減損損失の背景についても質問が出た。

米国のシェールガス事業は大丈夫なのか

最高財務責任者を務める中島功常務は、特損について「まずもってお詫びする」と謝罪。そのうえで、「他社のように、ガス田のガスが出ないとか、オペレーションがうまくいっていないという理由での減損ではない。ガスの生産は円滑、着実に行っている。ただし、ガスの価格が大幅に下がった関係で採算性が悪くなったため、資産の評価減を行った。今後、従前のようなガス価格に戻れば、今回の減損の一定程度はリカバーできると考えている」と説明した。

関連して別の株主が「伊藤忠商事はシェールガス事業から撤退したが、東京ガスは今後どう取り組むのか」とただした。資源事業本部長の内田高史常務は「当社はカナダと米国でガス田を持っており、約6億ドル(当時の日本円で500億~600億円)を投資してきた。いずれも順調に生産中であり、今後はガス価格の上昇に期待して、投資を回収していきたい」と答弁した。

さらに、「ガス価格の低下でガス田の権益を取得する金額も下がっており、取得の好機とも考えられる。リスクを回避しながら、いいガス田があれば買い増しを検討したい」と、事業拡大に意欲を見せた。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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