中国電池CATL、「超長寿命」の蓄電システムを開発 最大1万5000回の充放電可能、5年間は劣化なし

✎ 1〜 ✎ 1422 ✎ 1423 ✎ 1424 ✎ 最新
拡大
縮小

蓄電システムには、EV(電気自動車)用の車載電池よりもはるかに長い数十年の耐用年数が求められる。それだけに、電池セルの長寿命化は蓄電システムの運用コスト低減に直結する。

再生可能エネルギーの導入が加速するなか、蓄電システムの需要は急拡大している。写真は山東省に建設された蓄電システムの実証実験施設。CATL製の電池を採用している(同社ウェブサイトより)

「リチウムイオン電池を用いた蓄電システムは、(昔からある)揚水発電式の蓄電システムに比べて(容量当たりの)初期投資が大きく、電池セルの寿命にも限りがある。そのため短期的には、電池式のコストが揚水式を下回るのは困難だ」

中国電力科学研究院の首席エンジニアを務める惠東氏は、2023年6月に開催された電池業界の国際フォーラムでそんな見方を示していた。

電池式の蓄電システムが抱えるもう1つの課題は、(電池セルの異常過熱による)発火リスクの高さだ。惠氏によれば、蓄電システムの火災事故は公に報じられただけで60件を超えるという。

イーロン・マスク氏も必要性強調

だが、電池式の蓄電システムはコンパクトで設置場所を選ばないという、揚水式にない大きな利点がある。再生可能エネルギーの導入が世界的に加速する中、そのニーズに対応できるのは電池式だけなのが現実だ。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

アメリカのテスラは、EVとともに蓄電システムの開発・生産も手がける。同社のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は事あるごとに次のように語り、蓄電システムの重要性を訴えている。

「再生可能エネルギーの主力は太陽光と風力だが、太陽が(24時間)照らし続けることも、風が吹き続けることもない。人類社会全体が再生可能エネルギーに移行するためには、約200TWh(テラワット時)の蓄電システムが必要だ」

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は4月9日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT