外で遊ぶスマホゲーム「Ingress」、真の狙い グーグルがゲームで仕掛ける次の野望

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――Ingressをプラットフォームとして開放する構想も聞いている。

確かにプラットフォームとして開放し、ほかのデベロッパーの方々に参画していただく検討はしている。クリエイティブなアイデアを持っている人たちに、ユーザーが外へ出かけたくなるゲームを開発してもらうという考え方だ。デベロッパーやゲーム会社と話はしているが、それ以上の情報は公開できない。

IngressはAR(拡張現実)カテゴリのゲームに該当するが、この分野は数百、数千種類あってもいいと思っている。VR(仮想現実)カテゴリのゲームよりもチャンスがあると思っており、ARゲームはVRよりも大きくなると思っている。これはモバイル端末がデスクトップPCの出荷台数を上回ったことと同じで、ARはモバイルで遊ぶゲームでVRはインドアで遊ぶゲーム。ARゲームなら人が動き回り、色々な場所に行くことができるので人々の生活様式にかなっている。モバイル端末が広まったことと同じように、ARゲームも広まると思っている。世界的にゲーム市場は800億ドル規模と言われるが、ARゲームはかなりの市場規模へと成長するはずだ。

――Ingressで従来のゲームの世界を変えていきたい?

私としては、ARゲームがどれだけ楽しく説得力があるのかを伝えたい。ゲームで遊びながら実際に体を動かすということが、どれだけ前向きな体験ですばらしい組み合わせかを世界に示したい。これからARゲーム市場へ参入するクリエイターが増えると自信を持っている。

途上国でもユーザー数が急増

――今後、ナイアンティック・ラボが開発するゲームもARになる?

そうだ。Ingressはスマホに対応したARゲームだが、今後はアンドロイドやアップルのウェアラブルウォッチが増えてくる。マイクロソフトもARメガネ「HoloLens」を打ち出している。今後はスマホだけでなく、ウェアラブルやゴーグルなどのプロダクトへ広げていきたい。

グーグルは2014年に5億4200万ドルでMagic Leap社を買収した。これからデバイスを開発して商用化されるのは5年後くらいだろうが、プロダクトが出揃ったときに私たちのゲームがプラットフォームとして強固なものになっているように育てていきたい。

――どこまでユーザー数を伸ばしたいか。

世界中の人でいいのではないか。Ingressはゲーム専用機がなくても遊ぶことができる。途上国に住む人々は、冷蔵庫やテレビよりもスマホをほしがっている。Ingressは無料で提供しているので、スマホを持っていれば途上国の人でも使ってもらえる。ユーザーの加入率を見ると非常に面白くて、スリランカやフィリピン、インドネシアやブラジルなどで非常に大きなコミュニティができている。私はスマホゲームが、ゲーム業界の未来を担っていると思っている。   

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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