中年夫婦が決断「30→25平米」仰天引っ越しの内情 「6畳1Kの単身者向け」も読めば理由に納得…?

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「大病院徒歩圏内」で「価値が下がりにくい都心部の駅チカ」という条件に見合う、予算内の物件は25㎡しかなかったというのが、新居選びの真実です。さらに付け足せば、築年数も相当古い。以前のエッセイでも触れましたが、10年前にほぼ無一文で結婚した私たちがいかに節約しようとも、買えるマンションなんてたかがしれているのです。

ふたたび、引越し先の様子で、古さが凝縮された3点バス。フラッシュバルブ式の便器と、バランス釜の浴槽、古びた洗面台がよく言えば昭和レトロな感じ(筆者撮影)

国土交通省の「住生活基本計画における居住面積水準」では、2人暮らしでゆったり暮らせる広さ(誘導居住面積水準)は55㎡とされています。同じ金額を出せば、田舎の方の駅はずれのマンションなら買えなくはないかもしれません。でも利便性は失われます。

自家用車がないと不便だし(そもそも夫に運転はもう難しく、私はペーパードライバーです)、夫は抵抗力の下がった体で電車に乗って1日がかりで病院に通うことになり、リスクにさらされることになります。付き添いも必要なため私の時間も奪われます。

6畳1Kの間取り図、左側が現在の間取りで右がリフォーム案。押入れを撤去して居室を広げる予定(筆者撮影)

しかも、住めば住むほど修繕積立費と管理費は上がるのに反比例して売値は下がるため、引っ越しのハードルもうんと上がるのです。地方都市の駅チカ物件など、価値の下がらないマンションもあるのでしょうが、予算が潤沢にないため手が出ません。

「家の向かいにスーパーが欲しい」「徒歩圏内に駅が欲しい」と思っても、住環境は自分たちで変えることはできませんが、狭さは工夫次第で補うことができます。

利便性を享受するために、荷物を減らして小さく暮らす

狭い家で暮らすための大前提として、家の収納スペースに見合う量だけ荷物を持ち、入りきらない分は手放すことが絶対条件です。でも都心ならそれは難しくありません。

豪雪地帯の一軒家に住んでいるなら、食料品や日用品のストックは必須ですが、徒歩数分の距離にコンビニやスーパー、ドラッグストアがある環境なら、ストックは最低限+非常用の予備だけあれば十分です。

非常用トイレ
我が家の非常用備蓄。夫の免疫力が低く共同トイレを絶対に使いたくないため、非常用トイレを多めにストックしています(筆者撮影)
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