大学受験では使わない「中学受験算数」の問題点 それは本当に小学生がやるべき勉強なのか?

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「つるの数を15匹、かめの数を0匹と仮定すると、足の数は15×2=30本となり、合わせて42本という条件に対して12本足りません。つるとかめを1匹ずつ交換していくと、1匹交換するごとに足は4−2=2本ずつ増えていくので、12本増やすには12÷2=6匹交換する必要があります。最初につるは15匹、かめは0匹と仮定していたので、つるは15−6=9匹、かめは0+6=6匹が正解になります」

他にも面積図や表を使って考えていく方法や、方程式のxやyの代わりに「△」や「□」といった記号を用いて解く方法など、中学範囲の連立方程式を理解している人にとっては遠回りと思えるような解法が様々あります。

これは、文科省の学習指導要領により方程式は中学から習う内容となっているため、小学生を対象とした中学受験では出題できないという事情があります。

頭の体操になったり、順を追って物事を整理していく力は付きそうですが、この解き方をひたすら演習するくらいなら、中学範囲の数学を少しでも先取っていった方が後々の「数学力」に生きてくる気もします(ただ、就活における「SPI」などの数的分野で出題される問題が、こちらの「中学受験算数」と酷似しているため、中学受験の経験者はここでは面目躍如することになります。6年後の大学受験数学にはあまり結びつかないかもしれませんが、10年後の就職試験の際にちょっと役立つことはありそうです)。

中学受験組は「英語」で苦労する

中学受験組で大学受験に苦労する人には、英語の勉強をおろそかにしたという共通点があります。これは中学受験組の最大の弱点と言っても過言ではないでしょう。

中学受験では英語が受験科目にないため、中学受験に専念するためには英語を勉強する余裕がなくなります。幼少期から英会話教室に通っていたような家庭でも、中学受験対策を理由に教室を諦め、中学受験対策塾にシフトするようになると聞きます。

語学習得のためには幼少期からその言語に触れておくのがいいのは定説ですが、中学受験に挑むために英語の勉強をストップする家庭も少なくありません(ただ、近年は中学入試でも英語を導入するところも出てきています)。

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