投資ブームを煽る「誇張や断定」とどう付き合うか 後藤達也×田内学「お金と投資」対談【中編】

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田内学
田内 学(たうち・まなぶ)/社会的金融教育家。1978年生まれ。東京大学工学部卒業。同大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。2003年ゴールドマン・サックス証券株式会社入社。以後16年間、日本国債、円金利デリバティブ、長期為替などのトレーディングに従事。2019年に退職後、執筆活動を始める(撮影:今井康一)

後藤:断定口調じゃないとインパクトが弱く、読者や視聴者に響きづらかったりするので、無理して断定口調にしている人も見かけますね。

でも、経済ってそんなに単純なものではありません。1人の人間があらゆる情報を整理するのは無理ですから、何でも喋れてしまう人は、むしろ眉唾だと思ったほうがいいですね。

後藤氏「答えられないと、使えないと思われる」

後藤:テレビとかで、例えば「年末の日経平均はいくらになると思いますか」みたいな、すごい無茶ぶりな質問をされたりするんですけど、その度に「答えられません」と言っています。

すると「こいつ使えねえな」と思われて、将来番組に呼ばれなくなるリスクがあるのですが、「使えない」と思われないように必死に応えてしまうと、もう自分の尊厳や長い目で見たブランドがどんどん崩れていくので、そういう仕事はお断りするようにしています。

――誇張や断定に踊らされないために、そういう情報とはどう付き合えばいいのでしょうか。

田内:株価は、踊らされる人が多いと実際に上がってしまいます。ただ、それは実力とは別もの。みんなが買っているから上がっているだけだと肝に銘じていると、踊らされることもないと思います。

後藤:XやYouTubeの情報だけにベットしないことが重要です。特に、今みたいに株高がはっきりしてくると、それで儲かっている人の声がいっぱい出てくるし、その人たちのオラオラ感がもっと強さを増していきます。逆に、「いよいよバブルだから気をつけたほうがいいよ」という声はかき消されてしまいます。

そうすると、「本当にそうだ。乗り遅れるかもしれない」みたいな感じで、焦りが増してしまうのですけれど、でも、世の中の人が全員強気になって「買いだ、買いだ」となったころって、大体もうピークになっているんですよ。

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