「子どもへの欲→焦り」を最小化する3つの手段 「中堅校狙いでいい」と言う子どもへの対応は?

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イメージとしては、スマホのアプリを想像してみてください。「欲アプリ」「期待アプリ」「焦りアプリ」をいつもフル稼働させているため、スマホの電池(エネルギー)はそこで消耗されます。そのようなアプリに電池を使うのではなく、「楽しむアプリ」に電池を使います。具体的には次のようなことです。

「今日という子どもとの貴重な時間をどのように楽しんで過ごそうか?」に意識を向けていきます。すると「楽しむアプリ」に電池が使われていき、「欲や期待や焦り」に向けるエネルギー量が少なくなっていきます。人は同時にいくつものことに意識を向けることができません。子どもを前にしたときに、子どもとの貴重な二度とやってこない「◯歳◯カ月◯日という今日を」どのように楽しく過ごすかと考えていけば、欲や期待、焦りは出てきにくくなります。

円満な家庭を築きつつ、子どもを伸ばすために

以上、3つの手段についてお伝えしました。これらは一見、欲、期待、焦りを最小化させるためだけの方法に見えると思いますが、実はその続きがあります。

これらを行うことで、今までやっていた子どもへの不要な圧力、声かけ、態度が変わっていきます。その結果、子どもに行動変容が起こります。本来の子どもが持っている力が発現し、その子らしく生き生きと活動ができるようになるのです。

中学受験をする親子で「親の子どもへの過度な欲、期待、焦りによって子どもを伸ばさないだけでなく、潰してしまう」こともあると聞きます。また、学力は伸びていても親子関係が悪かったり、夫婦仲が悪化していったりする場合も少なくないと聞きます。学力向上、合格のためなら、親子の信頼関係や家庭内雰囲気を犠牲にしてもよいとしたら、それは本末転倒です。そうではなく、親子の信頼関係を強め、円満な家庭を築きつつ、子どもを伸ばすことは十分可能なのです。そのためには、「親の子どもへの欲、期待、焦り」を最小化させる3つの手段を1つだけでもいいので実行してみてください。その効果に驚くと思います。

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石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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