資生堂、課題は個々のブランド力の強化 総会で問われた「プロ経営者」魚谷社長の手腕

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今年の総会には2500人近い株主が集まった

――株についてだが、できれば年間配当20円を、30円、40円に上げてくれないか。

直川紀夫・執行役員CFO「2014年の株主総会時点と比べると、株価は40.6%上昇しており、日経平均を上回る形で推移している。時価総額は1兆円超えを達成した。今日も年初来の高値を更新した。市場は、私たちが進めている改革に、好感を抱いているということだろう。あとは、国内・海外の実績がついてくることで、さらに株価が上がるのではないか。配当は現在、40%の配当性向と株価上昇のトータルリターンで、還元しようとしている。これからの三カ年計画で、利益を上げ、株主への配当が上がっていくようにマネジメントしていきたい」

――去年の総会で、乱立するブランドを統廃合し、個別のブランド力を強化するという話があった。ただ、一年経ってみて、ブランドが統廃合された印象がない。この一年間の廃止ブランドと、その成果は。

杉山繁和・執行役員「ブランドを廃止するにあたっては、代替品があるか、そして販売動向を把握して本当に利益に貢献していないのか、という2点をしっかり検証することが必要。ただ、具体的な数は申し上げられないものの、この1年で統廃合は確実に進んでいる。2015年度はマーケティング投資を増加させていくので、これによってブランドも随時強化していけるかと思う」

中国市場では精神的な満足感も

魚谷社長「現在、国内売り上げの90%を占める30ブランドを、2020年までには15ブランドまでに絞り、個々のブランドの比率を高められるよう、ブランド力拡大に努めたい」

――中国のマーケティングについて。魚谷社長は清涼飲料水のビジネスで、華々しい業績を積み上げてきた。そこで得た知見、洞察を、中国市場の次世代のお客様作りに、どのように生かそうとしているのか。

魚谷社長「中国が豊かになってきたことによって、製品の質に加え、精神的な満足感の重要性が高まってくる段階にきた。飲料の価値とは、のどの渇きを潤すことに加え、情緒的なものにある。これは化粧品にも通じるところで、今後の製品作りは、情緒をどう表現していくかが重要になってくる」

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者、東洋経済オンライン編集部、電機、ゲーム業界担当記者などを経て、現在は『週刊東洋経済』や東洋経済オンラインの編集を担当。過去に手がけた特集に「会社とジェンダー」「ソニー 掛け算の経営」「EV産業革命」などがある。保育・介護業界の担当記者。大学時代に日本古代史を研究していたことから歴史は大好物。1児の親。

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