中国で「風力発電装置」の過当競争がエスカレート メーカーの生産能力が需要増加を超えて拡大

✎ 1〜 ✎ 1418 ✎ 1419 ✎ 1420 ✎ 最新
拡大
縮小

過当競争のエスカレートが如実に表れているのが、風力発電装置メーカーの粗利率(売上高総利益率)の推移だ。

最大手の金風科技は、2023年の粗利率が6.41%と前年比では横ばいだったものの、2021年との比較では11.3ポイントも下がっている。上海電気風電の2023年の粗利率は5.74%と、1年間で8.3ポイント低下した。

中国の風力発電装置メーカーは、過当競争による収益力低下に直面している。写真は最大手の金風科技の工場内(同社ウェブサイトより)

情報サービス会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は3月27日付の調査レポートで、2023年の新増設容量に基づく風力発電装置メーカーのランキングを発表。その上位5社は金風科技、遠景能源(エンビジョン)、べスタス、運達能源科技集団、明陽智慧能源集団の順であり、デンマーク企業のべスタス以外はすべて中国企業だ。

価格は西側メーカーの2割安

BNEFによれば、中国メーカーが2023年に設置した風力発電装置(容量ベース)の98%は国内市場向けだった。本国での収益力低下に悩む中国勢は、海外事業の強化に一斉に動いている。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

海外市場で最大の実績を持つ中国メーカーは金風科技であり、2023年の設置容量は748MW(メガワット)だった。だが、これは同社の(中国市場を含む)総設置容量の4.5%に過ぎない。第2位の遠景能源の海外設置容量は561MWで、同社の総設置容量の3.6%だった。

「中国メーカー製の風力発電装置の価格は、西側諸国の競合メーカーに比べて約20%も安い。この価格競争力が、中国勢に輸出拡大のチャンスをもたらすだろう」。BNEFはレポートの中でそう予想した。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は3月29日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT