ロシアに無知だったEUはソ連のように自壊する ロシアを民主主義の反面教師としてきた欧州のツケ

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しかし、その死に体のウクライナを支援し戦争を継続させるとすれば、ウクライナの消滅だけで済まなくなる可能性もある。EUの中でも、民衆と政治権力を握る特権エリートとの対立が起きている。まして戦争に加担するとすれば、EU諸国の民衆も黙っていないだろう。

大きな文明は周辺文明を引き寄せると述べたが、ロシア文明と中東文明は過去の2世紀の間、太陽の役割を果たしてきたヨーロッパ文明を引き寄せ、こなごなにするかもしれないのである。歴史を見れば、その可能性は強い。

崩壊するのは、EUかもしれないのだ。それは、ロシアによるというよりは、自壊といったほうがいいかもしれない。ソ連が自壊したように、EUも自壊していくのかもしれない。

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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