65歳以降も学び続け元気な人と学ばない人の差 記憶力の衰えでなく好奇心の衰えこそが大問題

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人間は人生の多くを勉強に費やしています。大学まで進学する場合を考えると、0歳から22歳までが学習期間、22歳から64歳までが労働期間、そして65歳以降が引退後の期間となります。人間は生涯の4分の1を学習に使っているのです。大学院まで進むと、学習期間は3分の1にも延びます。このような長い期間を学習に費やす生物は人間の他にはいません。

好奇心があると知識が増えるというのは、当然です。私は、この逆命題も真だと思っています。つまり、知識が増えると好奇心も強くなるのです。興味のもとになるのが知識なのです。

例えば、飛行機の窓から外の景色を眺めるとしましょう。その風景がどこの土地なのか知っていれば、「あの町は上から見るとこうなのか」と興味が湧きます。一方、知らなければ特に関心を払わず、記憶にも残らない。人は興味があるから勉強する気になりますが、勉強して知識を得ると、それによって興味を掻き立てられて、さらにまた学びたくなるのです。

知識が蓄積されると好奇心が強まる

公園を歩いているとき、樹木の名前を知っていれば、より注意深く観察するようになります。鳥や昆虫の名前を知っていると、もっと詳しく観察したくなるのです。そして、知識が深まるほど好奇心も増します。知識と好奇心は互いに強化し合います。

これは、さまざまな場面で経験します。夜空を眺めていても、星座を知っているか知らないかで、その感じ方は大きく異なります。星座を知らずに漠然と眺めているだけでは、星空の美しさを感じることは難しいでしょう。

南半球を旅行したにもかかわらず、南十字星を見ていないという人は多いのです。何という貴重な機会を無駄にしていることでしょう。仕事で南アフリカやオーストラリアに何年も駐在していた人でさえ、南十字星を見たことがないと言います。

私にとって、それは信じられないことです。南十字星のあたりの星空を双眼鏡で見ると、息を呑むほど美しいのです。南十字星はオーストラリア南部まで行けば一年中見ることができますが、日本からは見ることができません。

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