フォーミュラE「裏側から観た」東京大会の意気 チームはこの「東京E-Prix」をどう見たか?

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フォーミュラEを続けているうちに社の方針が決まっていったというのは、世の流れをうまく読んだというべきか。あるいは、自社の向かう方向をとうに見定めていたというべきか。

2024年、東京でのレースに臨んだジャガーTCSレーシングはチームランキングで1位。ドライバーのニック・キャシディはドライバーズポイントで1位、チームメイトのミッチ・エバンスは3位という好成績だった。

参戦100戦目を経たこれから

私は今回の第5戦を、ジャガーTCSレーシングとともにした。準々決勝、準決勝と決勝を前に行われたラップタイム(コースを1周する時間)によるスタート順位決定の過程では、ニック・キャシディは19位、ミッチ・エバンスが9位。

実は、キャシディは準決勝で6位の成績を上げたものの、技術規定違反でベストタイムが抹消され、19位からのスタート。エバンスは他車への妨害行為が指摘されて、やはりグリッド順位が下げられてしまったのだ。なにが起こるかわからないのが、レースである。

東京湾を望むコースは道が狭くテクニカルであった(写真:Simon Galloway/FIA)
東京湾を望むコースは道が狭くテクニカルであった(写真:Simon Galloway/FIA)

「東京のような幅の狭いコースではスタート順位が結果に影響する」とチーム内での会話が聞こえてきたが、ロンドンなどではクラッシュが多く、順位が大きく入れ替わったのを観ていたし、エバンスはフリー走行時にトップタイムを記録するなどしていたので、期待は持っていた。

結果的にキャシディは8位(先行したマヒンドラが失格となったので9位から繰り上がり)、エバンスは15位でフィニッシュ。

「東京のレースは大変だったが、フォーミュラE参戦100戦目となる節目のレースで、ジャガーTCSレーシングは1位を守ることができ、ニック・キャシディは(1位になったポルシェのウェーレインの63ポイントに対して)61ポイントで2位、ミッチ・エバンスも6位につけていて、リードを保っている」

ジャガーのマシンには100戦目を記念した「100」の文字が入っていた(写真:Jaguar)
ジャガーのマシンには100戦目を記念した「100」の文字が入っていた(写真:Jaguar)

ジャガーTCSレーシングは上記のように発表。さらにビッグサイトの会場で、レースのあと「(4月13日と14日の第6戦、第7戦である)イタリア・ミサノでは期待していてほしい」とジャガーTCSレーシングの関係者は言っていた。

こんな抱負を聞いていると、これからも盛り上がりが期待できるフォーミュラEである。

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小川 フミオ モータージャーナリスト

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おがわ ふみお / Fumio Ogawa

慶應義塾大学文学部卒。複数の自動車誌やグルメ誌の編集長を歴任。そのあとフリーランスとして、クルマ、グルメ、デザイン、ホテルなどライフスタイル全般を手がける。寄稿媒体は週刊誌や月刊誌などの雑誌と新聞社やライフスタイル誌のウェブサイト中心。

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