カリフォルニア州、時給暴騰でついに「3000円」に 時給爆上がりで店長たちが今懸念していること

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ここ数年、バイナムと彼の妻は毎日のように、成人した2人の子供たちの助けを借りてレストランを切り盛りしてきた。

「夢として始めたことが、徐々に色あせてきた」とバイナムは言う。

フランチャイズオーナーの実態は零細店主

ジョー・マルケスも、これからの数カ月をどう乗り切るか悩んでいるオーナーの1人だ。

マルケスは1990年代初頭にカリフォルニア州サンノゼで、ホットドッグチェーン「ウィンナーシュニッツェル」のオーナーになった。現在は同地域でほかにも2店舗を構えており、3店舗合わせて45人ほどの従業員を雇っている。

マルケスはオーナーとして毎週毎週を生き抜くのが精一杯で、駐車場の再舗装やペンキ塗りといった設備改善のために使えるお金はほとんど残らないと話す。

「店の名前のせいで単純に大企業だと思われることが多いが、現実には私は基本的に個人の中小企業経営者にすぎない」

マルケスによれば、従業員の60%がフルタイム、残りがパートタイムという現在のスタッフ構成で営業を続けると、今回の最低賃金引き上げで1店舗あたり毎月4500~5000ドルのコスト増になるという。64歳のマルケスは、事業を息子に完全に譲り渡したいと考えていたが、近頃はその希望がますます消え去ろうとしているように思えると語った。

「これで金持ちになろうとしているわけではない」とマルケスは言う。「生計を立てようとしているだけだ」。

(執筆:Kurtis Lee記者)
(C)2024 The New York Times

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