ふかわりょうが"サイテー男"の小説に込めた思い 「B面があるからA面がある」その言葉の真意は

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そんなふかわさんも、今年でテレビの世界に入って30年という節目の年を迎える。

「テレビの役割も30年前とは変わってきたし、僕自身も歳を重ねて、今後は文章表現のウエイトが高まっていく予感があります。

アウトプットの場所によって、濃淡、希釈の割合は変わってくるんですけど、今後は、文章表現や書籍という舞台で表現する熱量や思い、機会は増えていく気がしている。割と重心が移動してきている」

ギリギリの縁を歩くのが楽しい

最後に表現者としてのふかわさん自身が、今の世の中に息苦しさを感じていないのか聞いてみた。

いいひと、辞めました
『いいひと、辞めました』(新潮社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

「ざっくりいうと、楽しんでいますね。そのギリギリの縁を歩くのが楽しいというか、無法地帯が一番楽しくないと思っているので。

(俳句や短歌の)五七五とか、五七五七七とか、それなりの枠組みの中で自由を享受する。それを窮屈と捉えるか、広がりと捉えるかは人それぞれ。

今後はむしろ、新たな価値観が生まれるのではという期待のほうが大きいですね。

ただ、世の中には、コンプライアンスを盾にしておかしくなっていたり、全然それとは違う考えを振りかざしている人がいるので、それは邪魔だと思います」

新しい価値観が生まれる瞬間に、ふかわさんが何をみて、何を発信しているのか。まさに、その第一歩が今なのかもしれない。

ふかわりょう
1974(昭和49)年、神奈川県生まれ。
慶應義塾大学在学中の20歳でお笑い芸人としてデビュー。長髪に白いへア・ターバンを装着し、「小心者克服講座」でブレイク。後の「あるあるネタ」の礎となる。
以降、テレビ・ラジオほか、DJや執筆など、その活動は多岐にわたる。
2024年3月19日、初の書き下ろし小説『いいひと、辞めました』を発売。近著に『ひとりで生きると決めたんだ』『世の中と足並みがそろわない』(新潮社)、アイスランド旅行記『風とマシュマロの国』(幻戯書房)など。
吉田 理栄子 ライター/エディター

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よしだ りえこ / Rieko Yoshida

1975年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、旅行系出版社などを経て、情報誌編集長就任。産後半年で復職するも、ワークライフバランスに悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋からフリーランスに転身。一般社団法人美人化計画理事。女性の健康、生き方、働き方などを中心に執筆中。

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