再燃する医療費問題、社会保障と税の「一体改革」が大迷走

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 今回は、6年に1度となる診療報酬と介護報酬の同時改定(表)。医療と介護の連携が重要となる中、効果的な点数の変更が期待されている。しかし5月中旬、日医は震災の復興支援に集中するため、今回の同時改定は見送るべきだと細川律夫厚生労働相に要請し、現在もその主張を貫く。

日医以外の診療側、社会保険関連の支払い側、有識者による公益側は「同時改定は粛々と行うべき」と見送りに反対。中医協での議論は難航し、ようやく6月に入って日医は、当初反対していた医療経済実態調査の実施について「報酬改定に直結しない」ことを確認して了承した、という経緯がある。

こうした中で、その実態調査にミソがついた。日医の原中勝征会長は「過去のものがいいかげんだったのか、医療費の(抑制)目標があって(データ内容が)合わせられていたのか。疑わしく思うというのが素直な気持ちだ」と語気を強める。

被災地やそれ以外の地域でも、震災の影響により、実態調査のデータが不正確になると指摘してきた日医。調査への不信が広がり、改定見送りの主張が一段と強硬になる可能性がある。

医療界の流れは増税反対から増税支持へ

もっとも、こうした見送りの議論がなくとも、今回の改定は不透明な要因だらけだ。ほかに解決しなければならない課題の筆頭は、周知のとおり財源問題だ。

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