ダメな営業が絶対わかっていない一流の心得 トコトン売ってきたカリスマに聞いてみた

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北澤孝太郎●1962(昭和37)年京都生まれ。神戸大学経営学部卒。リクルートに20年在籍後、ソフトバンクテレコム執行役員などを経て、現在フライシュマン・ヒラード・ジャパン社バイスプレジデント、東京工業大学大学院特任教授。組織変革、営業イノベーションなどを手掛ける。

北澤:ひとつは、営業をブラックボックス化していることです。営業の中身が見えない状態になっているわけです。もうひとつが成功体験にとらわれることですね。マネジャー個人がこういった悪癖を持つと営業部全体に広がり、最悪、社内でも孤立してしまいます。営業マネジャー、リーダーを志す人間は、こういったことにならないよう心掛けるべきでしょうね。

常見:では逆にノウハウを共有し、つねに新しい営業メソッドを模索し続ける態度であれば、継続的に成果は出せるわけですか?

北澤:そこが大事ですね。私が優秀だと思うマネジャー、リーダーは、自分が実践してきたことを知識化、体系化し、ほかの営業マンにも「再現性の高いノウハウ」として伝承しています。そして、ノウハウや勝ちパターンがずっと続かないことも理解しています。だから、新しい知識の獲得に余念がありません。自己研鑚を止めず、そこで得たものを共有し、戦略、戦術、育成につなげられる人がよい営業マネジャー、リーダーなのではないでしょうか。

常見:なるほど。

若者から学べないリーダーに未来はない

常見:そろそろ営業部に新入社員が配属される時期です。私も大学の教員という、学生を教える立場におります。20歳以上離れている学生たちの指導にはいつも試行錯誤しています。同じように悩む営業リーダーもいると思いますが、北澤さんはどう対応すればよいと思いますか?

北澤:私は本質的に、今も昔も若い人に変わりはないと思います。ただ今は、教える側に丁寧さが足りないとは思いますね。決定的に違うのが、バブルのころまでは、社内で横を見れば正解が見つけられました。日本経済全体が右肩上がりでしたから、できる人を模倣してればよかったのです。今は低成長の時代であり、変革の時代です。模範解答がありません。

常見:若い人ほど、参考にすべき解答は見つかりづらいと思います。

北澤:だから、自分で考えて行動しないといけませんし、営業リーダーはそれを支援してあげなければいけません。「背中を見て覚えろ」とか、「周りの空気を読め」と言われても、後輩は育ちませんし、余計混乱させるだけです。そんな指導法では、リーダー自身も成長しないでしょう。ある程度、踏み込んで教えるべきです。

常見:そのとおりだと思います。新人が育たない理由として「採用が悪い」だとか、「若者自体の能力が劣化している」とか、果ては「トップの能力が足りない」とか、いろいろなことが言われています。でもそんな犯人探しをしたところで、何が変わるのか、と。

北澤:育たない原因究明ではなく、解決策の提示にもっと注視すべきだと思います。先輩社員は自分より若い社員にはもっと自身の知識を与えてあげるべきなのです。

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