アパホテル、「客室数日本一」を支える"経営哲学" 「Much Better」ではなく「Even Better」の強さ

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ほかにも、改良はひっきりなしだ。例えば、2022年10月に開業した『アパホテル&リゾート〈六本木駅東〉』からは、枕元に「おやすみスイッチ(GOOD NIGHT スイッチ)」を設置している。

「おやすみスイッチ(GOOD NIGHT スイッチ)」とは、冷蔵庫、空調、ユニットバス、テレビ以外の電気がすべて1カ所で切れるスイッチのこと。ユニットバスやテレビが含められていないのは、複数人で泊まっている場合に誰かが使っている可能性を考えてのことだ。なんとも、きめ細かな配慮……。

おやすみスイッチ
右側の黒いスイッチが「おやすみスイッチ」。冷蔵庫、空調、ユニットバス、テレビ以外の電気が全て一箇所で切れる(写真:アパホテル提供)

開発理由について元谷氏は、「海外出張の際に、あちこち点在するスイッチの場所がわからず、あきらめて寝たことがストレスだったんです。それで、一括で全部切れるスイッチを思い立ちました」と説明する。

アパは「良いものを、さらに良くする」ラボである

通常、商品でもホテルでも、「同じものを大量に作る」ほうがコストメリットは大きいものだ。「1ホテル、1イノベーション」はコスト的にはかなりマイナスとなるが、その姿勢を追求し続けているのはなぜなのか。元谷氏は以下のように説明する。

「一番は、何度も訪れる方への配慮です。経済原論に関する考え方に、『カレーライスの法則』というものがあります。人は同じ味のカレーを食べると、1杯目は満足するけれど、2杯目は満足度が下がる。3杯目以降はもっと下がり、いつか見向きもされなくなるというものです。ホテルも同様で、同じサービスを提供し続けると、満足度はどんどん低減するのです。

と同時に、テクノロジーも日進月歩で進化します。かつては貴重だったWi-Fiだって、今では当たり前ですよね。だからつねに新開発を続け、世に受け入れられるサービスだけを残していく必要があるのです」

ダブルの客室
ダブルの客室イメージ(写真:アパホテル提供)
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