日本は2国目「ウーバーロボット宅配」期待と不安 時速5.4kmで歩道を走行、人手不足の救世主か

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注文から受け取りまでの流れは、基本的に人と変わらない。注文受け付け後、利用者にはロボットによる配達であることが通知されるので、同意する必要がある。

そこからロボットが飲食店の前まで商品を受け取りに行き、飲食店スタッフは店の前に停まったロボットに商品を入れる。従来は配達員が店舗内で商品を受け取ったり、デリバリー用の商品置き場へ取りに行ったりするが、ロボット配送の場合は店外に出る必要が生じる。

ロボットは歩道を移動して商品を届けるが、建物の中には入ってこられない。利用者は建物前に到着したロボットまで受け取りに行き、アプリ上に表示されたパスワードを入力すれば商品を取り出せる。

このため「(受け渡しの手間を考えると)昼など混雑時の対応は難しいのではないか」(大手外食チェーン)と懸念の声も上がる。自律型ロボットの最高速度は5.4kmで、歩道の移動で20~30分程度で到着する距離に制限される。飲食店から2km程度の範囲での運用となりそうだ。

これら課題については「ロボットによる配送サービスはアメリカでも初期段階。テストをしながら改善していきたい」(ウー氏)と改善を見込む。

ロボットは建物の中に入れないため、外まで受け渡しに行く必要がある(提供:Uber Eats)

人手不足解消にはポジティブか

課題はあるが期待する声も多い。

前出のとんかつ檍の吉田店長は「雨天時には配達員の手配に時間がかかり、遠方の配達員を手配することもある。こうした状況だとロボットによる配達は有効」と語る。ウーバーイーツジャパン広報も「季節や時間帯、天候などの条件によっては、加盟店や注文者に対して、稼働できる配達パートナーが少なくなる地域もある」とする。

今回導入されたアメリカCartken社のロボットは、夜間や雨天、軽い雪の際も走行可能だ。さらに「将来的には、配達パートナーが足りていない地域で、デリバリーロボットが配達ネットワークを補完する形で活躍できる可能性もあると考えている」(ウーバーイーツジャパン)と人手不足対策にも目を向ける。

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