夏休みは放射線の不安なくのびのびと、福島の子どもたちを北海道で受け入れ

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夏休みは放射線の不安なくのびのびと、福島の子どもたちを北海道で受け入れ

東京電力・福島第一原子力発電所の事故により、高い放射線量にさらされ続けている福島。子どもたちは、屋外活動を制限されたり、この猛暑の中でも肌を露出しないなど、非常に不便でストレスの多い生活を強いられている。そんな中、福島の子どもたちを、放射線の心配のない土地に招き、のびのび活動してもらおうという取り組みが行われている。

そのような活動の1つが、「ふくしまキッズ夏季林間学校」だ。7月25日から8月28日まで、ほぼ夏休み中の全期間を使って、北海道で催される。自然体験学習等を支援するNPOなどで作る、「福島の子どもを守ろうプログラム実行委員会」が主催する。
 
 この林間学校の対象は、福島の小中学生。参加費は往復の交通費(3万円)のみで、北海道滞在中の宿泊・生活費やさまざまな活動費は一切、寄付で賄うというもの。当初、2500万円の寄付金を前提に、200人の定員で募集したものの、すぐに定員が埋まった。そのため、追加の寄付集めに奔走、米国最大の日米交流団体ジャパン・ソサエティーからの大口寄付や、受け入れ先自治体等の支援もあって6000万円を確保、最終的に約600人で実施する見通しになった。

実行委員会副委員長でNPO・教育支援協会代表理事の吉田博彦氏は、プログラムの狙いをこう説明する。

「余計な被曝を減らすために不自由な生活を強いられている子どもたちに、せめて、休みの間だけでも、被曝を減らすことができて、さまざまな体験活動をしてもらえる環境を用意したかった」。

このプロジェクトの特徴は、期間の長さに加えて、リゾートホテルが運営するコテージ等が滞在先になるなど、施設の環境にも恵まれている点だ。吉田氏は「合宿施設などを利用して単価を下げ、もっと受け入れ人数を増やしたほうがいい、という意見もいただくが、普段の生活で避難所や仮設住宅での暮らしを余儀なくされている子どももいるのに、サマーキャンプでまでテントや合宿所で過ごさせたくない。施設側の支援なども受けて、1人1泊3食で単価4000円の仕組みを作ることができた」と言う。

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