中国の「生鮮食品EC」、逆境超え通期黒字化を達成 叮咚買菜、ビジネスモデルの持続性をアピール

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叮咚買菜のようなネット小売りの新業態は「即時零售(オンデマンド・リテール)」と呼ばれ、近年猛烈な勢いで成長している。中国商務省研究院は、即時零售の市場規模が年率50%以上のペースで拡大し、2022年には5042億8600万元(約10兆5098億円)に達したと試算。2026年には2兆5000億元(約52兆1023億円)を超えると予想する。

即時零售のビジネスは、スピード配送を実現するための先行投資が重い。写真は叮咚買菜の倉庫兼配送センターの内部(同社ウェブサイトより)

しかし、即時零售の売り物であるスピード配送を実現するには、「前置型倉庫」と呼ばれる倉庫兼配送センターを顧客の近くに多数設置しなければならない。そのための先行投資や運営コストが重く、現時点ではほとんどの事業者が赤字経営というのが実態だ。

そんななか、叮咚買菜が(痛みを伴うリストラを経て)通期黒字化を実現したのは注目に値する。

リストラ終え再成長に自信

「わが社は最も困難な時期を乗り越え、生き残るための基盤を固めた。これから成長軌道に復帰する余力も十分にある」。叮咚買菜のCFO(最高財務責任者)を務める王松氏は、決算説明会で自信をのぞかせた。

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決算報告書によれば、同社の2023年の営業キャッシュフローは1億2000万元(約25億円)のプラスで、同年末時点の手元資金の残高は53億1000万元(約1107億円)となっている。

「地域的な(不採算エリアからの撤退などの)調整は一段落した。2024年は華南地方、華北地方、華東地方の(既存の)サービスエリア内で事業規模を拡大したい」。財新記者の取材に応じた叮咚買菜の幹部は、当面の目標についてそうコメントした。

(財新記者:孫嫣然)
※原文の配信は3月1日

財新 Biz&Tech

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