「35歳以上はNG」清掃員求人に中国で沸く怒りの声 「35歳の壁」「学歴」全人代で印象に残る言葉

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董明珠会長は「若者が寝そべり族になるのは、今のポジションではふさわしい扱いや評価を得られないと失望した結果だ。彼らの潜在能力や才能をどう生かすか企業が考え、力が発揮できるポジションを見つけなければならない」と語った。

董明珠会長は昨年3月、転職する従業員について「会社はたくさんの費用、時間、労力を割いて従業員を育てている。従業員の転職先から教育費を取る法律をつくるべきだ」と発言し波紋を呼んだが、その意図についても語った。

通常の転職者ではなく、10年以上雇用し一から育てた従業員を念頭に置いているとしたうえで、「転職にあたって従業員が示した成果やスキルは、企業がつくったプラットフォームや投資を受けて培われたもので、従業員が個人で生み出せたものではない」と持論を展開した。

全人代 中国 両会
11日に閉幕した中国全国人民代表大会 第14期第2回会議(写真:AP/アフロ)

両会期間の経営者や専門家の発言は多岐にわたるが、国民が抱えている不満や課題に刺さるものはSNSで瞬時に拡散されるため、時代感が鮮明に映し出される。過去に注目された発言も紹介したい。

日本の炊飯器議論が起きた2016年

2016年の全人代では複数の著名経営者が日本の炊飯器に言及した。

スマートフォンメーカー大手シャオミ(小米科技)の創業者である雷軍CEOは、多くの中国人が日本で「爆買い」している炊飯器を詳細に分析したと明かし、「これまで炊飯器は大した技術もないと思っていたが、日本の炊飯器は米粒が踊るように炊きあがる」と紹介した。

格力電器の董明珠会長も「中国には多くのメーカーがあるのに炊飯器ひとつ、まともに作れない。だから中国の消費者が海外に炊飯器を買いに行く」と嘆いた。

「炊飯器全人代」には、さまざまな時代背景が詰め込まれている。

2010年にシャオミを創業した雷軍氏は、iPhoneそっくりのスマートフォンを発売して時代の寵児となり、2013年に全人代代表に選出された。この頃からIT業界の企業家が両会メンバーに名を連ねるようになった。

2015年には中国人が日本で大量の買い物をする「爆買い」が注目された。

炊飯器は温水洗浄便座と並ぶ人気商品で、中国の企業家たちは中国人の消費力向上と、中国の技術力の低さの両方を強く意識していたことがうかがえる。ちなみにシャオミは後に元三洋電機のエンジニアを招聘し、IoT技術を駆使したスマート炊飯器を発売している。

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