中学受験が「早く通い始めた者勝ち」ではない理由 低学年のうちは「広い意味での勉強」がおすすめ

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塾にとっては、大勢の塾生のひとりとして席に座らせておくだけで、毎月数万円を納めてくれるいい資金源です。ある大手塾では、そんな生徒のことを「お客さん」とか「電気代」と呼ぶことがあるようです。

塾は「早く通い始めた者勝ち」ではない

塾は早くから通わせれば、そのぶん成績が上がるとは限りません。もちろん、早くから入塾した子が、学ぶ楽しさを味わい、学習習慣と基礎学力を身につけて、希望の学校へ入学できることはあります。

でも、その子が小1ではなく小3の2月から入塾したらそこまでの学力がつかなかったのかというと、それは検証できないわけです。

低学年のうちに成績上位だった子の多くは、ハードルの上がった入塾テストを突破して小4以降に入塾してきた子に成績を抜かれます。後から入塾してきた子に抜かれていくのは、精神的なタフさがあるか、「人は人、自分は自分」という線引きができる子でないと、親子とも、キツいものがあります。

私は小学校低学年のうちは、そのときしかできないさまざまな体験をして、広い意味での「勉強」をすることをおすすめします。そういう子が後で伸びていきます。「急がば回れ」です。

誤解2 両親ともに公立高校出身だから不利

2つめの誤解は、両親ともに公立高校出身だから不利だというものです。両親とも公立高校出身で中学受験経験がない親御さんの場合、「子どもが中学受験したいと言い出したけれど、何がどう大変かわからないし、アドバイスもできない」と不安に思われることが多いようです。

でも、中学受験を経験していない保護者は、むしろわが子をうまくサポートできている印象があります。「経験がない」「知らない」というのは、ある意味最強です。先入観がないと、新しい情報がそのまま頭に入るからです。中学受験経験がない。地方から引っ越してきたので近隣のエリアのイメージがない。学校のイメージがない。それで不利になるわけではありません。

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