自閉症の人と自然に接してもらいたいという気持ちを込めて撮影しました--映画『海洋天堂』 シュエ・シャオルー監督

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--お札をそろえるシーンなど、自閉症の方の特徴を的確にとらえていると思いますが、演技指導で苦労された点というところはあったのでしょうか。

映画に出てくる自閉症の人の表現に関しては、非常に正確かつリアルを目指しました。実際には自閉症といってもいろいろなタイプがあるが、一般的にいちばんよく見られる特徴を見つけて、それを映画の中で表現しています。
 
 自閉症の場合、いつもどおりに同じようにするというのにこだわるので、物を見てこれはここに置くと思い込んでしまうと絶対繰り返し、繰り返しやる。本当にお母さんのカップとポット、右左どっちかが必ず右っていうのにすごくこだわっていて、たまたまお母さんが逆に置いたりすると必ずちゃんとそれを直すとか、実際そういう子を知っている。

逆に彼らは繰り返しを全然いとわない、むしろそれが得意。だからそうした特徴を生かすとすごく単調なのにそういう仕事を絶対に怠けることがないし、一生懸命やる。逆に怠けると彼らは気分が悪い。
 
 映画の中でも表現しているように、モップだったらモップで一生懸命隅々まで掃除するし、ゆで卵ゆでるときもいくつまで数えたらいいと言ったらもう絶対そのいくつまで数えるのです。

それからもう1つ、ターフーには、実はモデルがいます。「カナー症候群」と呼ばれる知的障害を伴う自閉症の方で、彼により近づけることで典型的な自閉症患者の動きを表現しました。

--観客にはこの映画のどこで、勇気づけてもらいたいというのがありますか。

今回の映画は、命の大切さということを訴えている。また、お父さんが、自分が死んでからも息子が幸せに生きていけるようにものすごく努力するという話。これを見た日本の皆さんも、いろいろな災害に遭われる中、希望を持って今後の人生に向き合っていくこと、生きていくことが大事だということを、見ながら思っていただければと思う。

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