デジタル時代にテレビが「勝つ」唯一の理由 マードック家御曹司が描くメディアの未来
これまでに彼は英衛星テレビ局「BスカイB」や、フォックス傘下のアジアでの衛星テレビ局グループ「スター」の最高経営責任者(CEO)を務めてきた。
外国で「非常に長い期間」過ごしてきたマードックを、国際ビジネスのエキスパートと呼ぶアナリストもいる。
一部のアナリストは、マードックの息子たちが経営トップの座を継いだ後、21世紀フォックスが買収でさらに積極的な役割を果たすかどうかは疑わしいと言う。
買収の行方に注目が集まる
ケーブルテレビ局や衛星テレビ局の大型買収話が相次ぐ中、業界はエンターテインメント企業の買収が今後も続くのではと身構えている。問題は、ジェームズ・マードックがそうした買収に前向きかどうかだ。昨年、21世紀フォックスはタイム・ワーナーに買収提案したものの断念。この案件には彼も関わっていた。
マードックは5月、21世紀フォックスはこれ以上、米国内でケーブルテレビ事業を拡大することに「それほど」関心がないと発言。その一方で、テレビ番組や映画の制作能力を高めたいという強い意向を示した。また、インドや中南米といった国外の急成長中の市場にも力を入れていると述べた。
最近の買収の例として、彼はインドの放送局の買収や、米大リーグのヤンキース傘下の放送局への出資比率を過半数まで引き上げた件を挙げた。
彼によれば今後の21世紀フォックスは、買収に関しては「相当に現実的で、ある意味戦術的」になるだろうという。
「今後もわが社はダイナミックでグローバルな組織であり続けたい」とマードックは言った。「中途半端なところで立ち往生するのは誰だって嫌だ。となれば投資は必要だ」。
(執筆: Emily Steel記者)
(c) 2015 New York Times News Service、翻訳:村井裕美)