残り1ヵ月、民主党は「救世主」を担ぎ出せるか

残り1ヵ月、民主党は「救世主」を担ぎ出せるか

塩田潮

 「刀折れ、矢尽きるまで」と菅首相は6日の国会答弁で述べた。

 すでに刀折れ、矢は尽きていると思うが、本人はまだまだ延命可能と見ているようだ。この先は「辞めない首相」をどうやって辞めさせられるかが焦点となる。

 菅首相も6月27日、記者会見で「2次補正予算、公債特例法、再生エネルギー法案の成立の3つをもって一定のめど」と認めた。民主党の最高幹部である岡田幹事長ら執行部の5人は7月7日、「3条件を8月12日までに実現して首相退陣」という方針を固めた。だが、それでも辞めないときはどうするか。

 党役員と閣僚が進んで総辞任するしかない。前原前外相は4人の代表経験者が退陣を迫り、辞めるまで首相官邸に籠城する案を提唱する。国民は首相の思いつき政治に愛想づかししている。ここまでくれば、破れかぶれ解散を強行しても、総選挙後の続投は困難だろう。7月の後半、「8月12日までの退陣」を前提に、政治は次のステージに移りそうだ。

 焦点は「ポスト菅」の人選で、次の民主党代表に関心が集まる。同時に、八方塞がり、行き詰まりの政治を打破する「新政権の形」が議論になる。現在の連立のままか、大連立か、民主・公明提携か、民主プラス小政党連合か。「ポスト菅」は、政権の新しい組み手の意向が強く影響するだろう。

 公明党が容認するリーダーを民主党が担いで民公連立が生まれる可能性があるが、その場合は取り残された自民党は長期野党を覚悟しなければならなくなる。あわてて大連立に傾斜するかもしれないが、共闘してきた自公両党の関係の変化も要注意だ。次の総選挙をにらんで、各党の生き残り策と選挙対策が絡む。

 だが、重要なのは「顔選び」や「新政権の形」ではない。「政治の長期機能停止」を脱して「国民のために働く政治」を取り戻すには何が必要か、長期デフレが続く中で大震災と原発大事故に見舞われた日本の復興と経済の再生をどうやって実現するか。この点について有効なシナリオを持ち、果敢に実行する見識と力量を備えたリーダーが求められる。

 8月12日までの残り1ヵ月で、民主党は「救世主」を担ぎ出せるかどうか。

(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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