東京の「中学受験」体験してわかった"摩訶不思議" 中高一貫校の入試、私立と公立でこんなに違う

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私は地方出身で、中学受験に縁なく育ちました。なので、息子の中学受験をするかどうかはかなり悩み、その仕組みの理解にもかなり時間がかかりました。そんなこともあり、今回は中学受験の基本を紹介してみた次第です。

多様な受験のカタチを知ったうえで決めるのが大事

以下に中学受験の問題点をまとめてみると、

・受験費用がかなりかかる
・目指す学校によっては、習い事などとの両立が困難
・親が入れ込みすぎて、子どもの心身の健康を無視した教育虐待に走る家庭もある
・親のサポートや計画力がかなり重要な仕組みのため、親の負担が大きい
・パートナーと教育方針がずれている場合、家庭不和につながることもある
・塾によっては終業時間が遅いため、生活や健康に負担がかかる
・試験問題が年々難しくなっていて、子どもの負担が増えている

などがあると思います。

とはいえ、中学受験のいい部分ももちろんあり、

・家庭の求める教育方針・教育レベルの学校に行くことができる
・親子が同じ方向性を目指すことができれば、子どもが精神的にも学力的にも大きく成長できる
・学区の公立中学校と合わなそうな場合、子どもに合った学校を探すことができる

というのは大きなポイントだと思います。中学受験といえば、難関校受験のハイレベルな話が飛び交いがちですが、そんな受験ばかりではありません。たとえば、学区の公立校に合わなそうなタイプの子が「子どもの個性を受け入れてくれそうな校風の学校を目指す」「美大附属校を目指す」のようなパターンの受験も中にはあるのです。

このように多様な受験のカタチがあるため、一概に「中学受験はいい!」「中学受験は悪い!」と言えないのが実情です。だからこそ、いろんなタイプの受験があることを知ったうえで、受験するしない、どんな受験スタイルにするかを決めるのが大事だと思うのです。さらにその方針にあった勉強のやり方や塾を探すのもとても大事なポイントです。

ちなみに、わが家の受験は、残念ながら公立校は難しかったのですが(そのハードルはやはり高かった涙。でも息子はベストを尽くしたし、公立校向けの勉強は息子にとってかなり学びが多かったです)、メインは私立対策塾に通っていたこともあり、私立の志望校には合格することができました。息子は受験を通してかなり成長したし、家族で一致団結して挑めたので、受験を選んだことに悔いはありません。とはいえ、この受験のハードルの高さもしみじみと思い知りました。この記事が、来年度以降受験を検討しているご家庭の参考になれば幸いです。

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ハラユキ イラストレーター、コミックエッセイスト

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はらゆき / Harayuki

雑誌、書籍、広告、Webなどの媒体で執筆しつつ、コミックエッセイの著書も出版。2017年から約2年間バルセロナに住んだことをきっかけに、海外取材もスタートさせる。著書に『女子が踊れば!』 (幻冬舎)、『王子と赤ちゃん』(講談社)、『オラ!スペイン旅ごはん』(イースト・プレス)、この連載を書籍化した『ほしいのはつかれない家族』(講談社)など。この連載のオンライン・コミュニティ「バル・ハラユキ」も主宰し「つかれない家族をつくる方法」を日々探求、発信中。ハラユキさんのHPはこちら

 

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