政倫審、安倍派幹部と二階氏の出席で与野党攻防 岸田首相の"圧力"も、当事者反発で調整難航

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これに対し、強制力を持つのが「証人喚問」だ。憲法の定める国政調査権と議院証言法に基づき、国会として対象議員を証人として呼ぶもので、虚偽の証言や、正当な理由のない出席拒否は、偽証罪・出頭拒否罪など刑罰の対象となる。

今回の裏金事件では、野党側が「原則非公開の政倫審なら自民側にもハードルが低く応じやすい」(立憲民主)との判断から早期開催を求めている。ただ野党側の司令塔の安住淳・立憲民主国対委員長も「政倫審は事件解明の第1歩」としており「徐々にハードルを上げて、最後は証人喚問まで徹底してやらせていただきたい」と徹底追及の姿勢を示しているため、自民側も身構えているのが実態だ。

支持率最低更新で追い詰められる自民だが…

そうした中、先週末から週明けにかけて一斉に実施、公表された各メディアの世論調査の多くで、内閣支持率と自民の政党支持率が過去最低を記録した。裏金事件への国民の激しい怒りが反映された数値とされ、岸田首相ら自民執行部は「ますます追い詰められている」(自民幹部)のが実情。

その一方で、今回の政倫審開催問題への対応が「岸田首相による衆院解散断行の可否や、9月の総裁選をにらんでの自民内の権力闘争の材料になりつつある」(自民長老)との見方も出始めており、週明けに始まった与野党攻防は「権謀術数が渦巻く複雑な構図」(同)となることは避けられそうもない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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