「ソフト老害」と言われかねない上司の口癖3選 形だけの共感で、問題解決はしない残念な態度

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したがって、その場限りで共感をされても納得しない。だから、

「では、具体的にどうすればいいですか?」

と聞きたくなる。それに対して、上司が問題解決を目的とせず、ただ聞くことだけを目的としていたことに気がつくと、若者は強く失望する。

「不満があるなら言えっていうので言ったのに、それじゃあなんも解決しないじゃないですか」

このように責めてしまいたくなる。そうなると上司も困り果て、

「お前の気持ちもわかるけど、昔はもっと大変だったんだから」

と、苦し紛れの「言い訳」が口をついて出てしまう。当然「今はこれでも、まだマシになったんだから」と言われて納得する人などいない。相手(若者)目線に立った発言じゃないからだ。

「ソフト老害」と思われる人は、上から目線で自分の意見を押し付けるような態度はしない。しかし、ソフトタッチで若者の主張を受け入れない。だから「老害と大して変わらない」と思われてしまうのだ。

(3)「うちの業界は特殊だから……」

まともな理由をもって反対するならともかく、「もっと変わるべきだ」と訴えたのに、このように言い訳されると多くの若者はガッカリするだろう。

「会社に向かって提案するだなんて、10年早い!」

と言ってしまったら本物の老害だが、

「君はまだ経験が浅いからわからないだろうけれど、この業界は特殊だから」

などと、やんわり上から目線で言ってくる。なので「ソフト老害」なのだ。

そもそもこの言い訳は、業界標準や他社の手法を取り入れることから逃げるために使われる。「この業界は特殊」「うちの会社は特殊」という根拠を持ち出されたら、何も変えることができない。

「いろいろ提案して」

と先輩や上司に言われても、その気にはならないだろう。

何歳になっても変わることから逃げてはいけない

今の時代、50代や60代だけではない。30~40代も正しく自己認識をしよう。そして不要なプライドを捨てて、若者たちと協力的な関係を築くことだ。

「私が部下を育ててやる」

という上から目線ではなく、

「一緒に育っていこう」

と謙虚になること。それができないと「老害」と思われるかもしれない。たとえ変えられなくても、変わろうと努力することが重要だ。最初から「どうせ無理」「昔からこうだから」と変革から逃げてしまうのは、絶対によくない。

30~40代の上司たちも「ソフト老害」と呼ばれないよう、新刊『若者に辞められると困るので、強く言えません:マネジャーの心の負担を減らす11のルール』を参考にしてほしい。

横山 信弘 経営コラムニスト

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よこやま のぶひろ / Nobuhiro Yokoyama

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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