レオス藤野英人が語る"大化けする企業の共通点" 「中小型株が日本市場を引っ張る時代が来る」

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「商魂」をわかりやすく言うと、ラーメン屋を経営できるような能力だ。

ラーメン屋の店主には商品企画や値付け、人の採用などさまざまな能力が要求される。それは企業経営者の仕事と同様だ。資金調達して、企画や仕入れを行ったうえで製品・サービスを組み立てる。販売で得た資金を広告やマーケティングに回したり、再投資したりする。そうしたビジネスパッケージこそが経営者の仕事なのだ。

そういう意味では、ラーメン屋の店主が必ず大企業の社長になれるとはいえないが、大企業の社長であれば、ラーメン屋もうまく経営できるとは思う。

「変化率」が重要

──そうした経営者をどうやって見つけているのですか。

つねに事業の切り口を見いだして、競争優位を作っているかが重要だ。

レオス・キャピタルワークスの藤野英人社長は、「日本株市場を中小型株が引っ張る時代が来るだろう」と語る(撮影:尾形文繁)

例えば経営者と対話するとき私が指摘したことに、次に会ったときも対処していない経営者がいる一方、3日後くらいに会うとすでに対処している経営者がいる。

そのように次回会うまでの「変化率」がある経営者が、企業を成長させる。投資家も現状の「よい会社」より、これから「よくなる会社」へ投資することが大事だ。

今後5年ほど経てばそうした経営者が活躍して、日本も変わってくるだろう。将棋界の藤井聡太さんや野球界の大谷翔平さんのような人が、経営者の世界にも出てくる。今の日本株市場は大型株が牽引しているが、そうした有望な経営者がいる中小型株が引っ張る時代が来るだろう。

──有望な企業を探す際、経営者以外の注目点はありますか。

社会情勢の中で強い追い風を受けそうな企業を探すことだ。

例えば九州では台湾のTSMCが進出するなど半導体産業が盛り上がっている。そこで工場が新設されれば、新たな電力需要が見込まれる。その際に電力設備の建設を一手に担うのが(投資先の1つである)九電工であり、同社に人手が足りなければ同業の四電工にも仕事が回っていくだろう。

こうしたマクロ環境の変化から、個々の企業のTAMの大きさを予測できるはずだ。

(聞き手:高橋 玲央)

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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