史上空前規模の災害医療を担った石巻赤十字病院、救護チーム統括医師に「震災後100日」の課題を聞く

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--医療救護活動は空前の長期にわたっていると言われています。

宮城県の医療整備課によれば、3カ月以上も続く活動は「前代未聞」だという。これまでの大規模災害でも1カ月が一つの区切りとされてきた。
 
 災害医療活動では、(1)急性期の災害関連疾患への対応→(2)被災住民の健康状態や衛生面の改善→(3)地元医療機関による保険診療へのバトンタッチ、という順序で進んでいく。しかし、地元医療機関が大きな被害を被ったために、(3)になかなかたどり着けないのが実情だ。
 
 日本赤十字社としても、石巻赤十字病院での救護活動の規模は前代未聞のスケールになった。
 
 5月末までに日赤の救護班は延べ961チーム(ほかの医療機関からの応援を含む石巻圏合同救護チーム全体では延べ3009チーム)に上り、関与した本部支援の事務要員は延べ888人。院内の診療支援では、医師や看護師、救急救命士など延べ2663人が従事した。
 
 震災発生から100日までの間に、救急患者数は1万8381人に達した。中でも震災2日目には、1日に1251人もの救急患者を受け入れた。
 
 現在でも、救急車の受け入れ件数は1日に15~16件と、平時の倍くらいある。石巻市立病院や石巻市夜間急患センターが津波で機能を停止したため、救急の受け皿としての当院に負荷がかかっているためだ。

今後の課題は、(1)救急体制の再構築、(2)僻地医療体制の再構築の2つだ。



■3月12日の石巻赤十字病院院内(軽症者エリア)


■次々と患者が搬送されてきた(3月12日の院内、中等症エリア)


■臨時のベッドもほぼ満床になった(3月12日の院内中等症エリア)

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