トヨタ種類株、海外機関投資家が反対表明 既存の株主にとって最善の利益ではない

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 6月15日、トヨタ自動車が発行を目指している種類株に対して、海外の機関投資家が相次いで反対を表明している。海外機関投資家を含めて、既存の普通株主にとって最善の利益ではないというのが彼らの主張だ。写真は、トヨタのロゴ、2014年11月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 15日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>が発行を目指している種類株に対して、海外の機関投資家が相次いで反対を表明している。海外機関投資家を含めて、既存の普通株主にとって最善の利益ではないというのが彼らの主張だ。

発行には、16日に開催される定時株主総会で3分の2以上の賛成による議決が必要だが、賛成と反対の票数が僅差になる可能性もありそうだ。

運用資産約2000億ドルの米カリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ California State Teachers' Retirement System)は8日、トヨタの株主総会で、種類株発行について、同基金が保有する430万株をすべて反対票に投じると発表した。同基金は公表した声明文で、1種類の普通株式が存在することがガバナンス上最も有効であり、「1株1票」の構造が株主の経済価値を平等にするなどと訴え、種類株の発行に反対している。

同種類株は、国内個人投資家向けで議決権付き。5年間譲渡ができないものの、払込金額と同額での買い取り請求が可能で、株式の下落リスクを回避することができる。

一方、配当利回りは当初、普通株より低いものの、徐々に上がる仕組みだ。5年後には普通株式への転換や発行価格での買い取り請求ができる。

世界の機関投資家などが参加する全米機関投資家協会(CII)によると、トヨタの種類株の発行に反対投票するのは、カルスターズのほかに、カナダ公的年金基金投資委員会(the Canada Pension Plan Investment Board)、 フロリダ州運用管理理事会(the Florida State Board of Administration )、オンタリオ州教職員年金基金(the Ontario Teachers' Pension Plan)。

CIIによると、フロリダ州管理委員会は反対の理由について、海外の投資家には対象株式を販売しないことに対し「海外の投資家を不利にする一方、日本国内の株主基盤を強化するためのもの」と主張している。

 

(布施太郎 編集:田巻一彦)

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