政府は「仕事の復旧」と被災者福祉の拡充に全力を

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 現に、福島県では震災発生から5月29日までの雇用保険受給決定件数は前年同期比2・8倍だ。

第1次にとどまっている義援金給付は、この先、第2次、第3次と続き、被災者の生活を資金面で支えることが期待されている。しかし、それと並行して、被災地での高い失業率が続けば、潜在的な生活保護世帯は増大するに違いない。それが顕在化したとき、義援金は生活を支えるものとなっているのか、それとも、足かせとなってしまうのか。

働くことができる人々をそんな劣悪な立場に置いてはいけない。政府は何より、被災地における雇用状況の改善に注力すべきである。疾病などによって働くことが不可能な人々に対しては、的確に政策的な保護を提供していくことが求められる。政府は、被災地の現実をもっと直視し、有効な雇用拡大策による「仕事の復旧」に最大限の努力をすべきだ。政府による「仕事の復旧」が成功するまで、被災者の心身が持ちこたえることができるか。残されている時間は少ない。

(シニアライター:浪川 攻 週刊東洋経済2011年7月9日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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