集合住宅「災害時のトイレトラブル」を避ける対策 気付かず使うと、汚水が上の階から下の階へ

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■受水槽の非常用給水栓と緊急遮断弁の扱い方

4つに分かれる建物の給水方式のうち、高置水槽方式と加圧給水方式には「受水槽(高置水槽を含む)」が備わっています。停電により断水した際でも、受水槽があれば、その中に一定の水が確保できていることになります。

自治体に事前に確認しておくこと

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自治体によって対応方法は異なりますが、災害時に受水槽内の水道水を有効活用できるように、受水槽に「非常用給水栓」を設置する場合の取扱基準を設けている場合があるので、事前に確認しておきましょう。

非常用給水栓が設置してある場合、受水槽内にある水量を把握しておき、給水栓から取り出した水をどのような容器に入れ、どうやって運ぶのか、何に利用するのかを考えておくことが必要です。

また、受水槽には「緊急遮断弁」が設置されていることがあります。

緊急遮断弁とは、受水槽の出口側に設置し、地震の揺れを感知して弁を閉めることで、受水槽内の水が流出しないようにするための装置です。作動すると、配水管に支障がなくても断水と同じ状態になりますから、緊急遮断弁の解除方法も確認しておきましょう。

災害トイレ
参考: 大阪広域水道企業団「緊急遮断弁
加藤 篤 日本トイレ研究所代表理事

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かとう あつし / Atsushi Kato

まちづくりのシンクタンクを経て、現在、特定非営利活動法人日本トイレ研究所代表理事。災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校教諭等を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業などを展開している。「災害時トイレ衛生管理講習会」を開催し、災害時にも安心して行けるトイレ環境づくりに向けた人材育成に取り組む。排泄から健康を考える啓発活動「うんちweek」を展開。循環のみち下水道賞選定委員(国土交通省)、東京都防災会議専門委員(東京都)など。著書は『もしもトイレがなかったら』(少年写真新聞社)、『うんちはすごい』(株式会社イーストプレス)など。

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