婚活苦戦中の男女にみる「相手への高い要求」問題 「結婚の落としどころ」と「理想の結婚」を考える

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では、熟年同士の再婚は、どうか。

あき(53歳、仮名)は、長女が社会人になったのをきっかけに3年前に離婚。そして、長男が社会人になった今年、自分の第二の人生を歩もうと、婚活をスタートさせた。

いくつかのお見合いを経て、としはる(52歳、仮名)と交際に入ったのだが、この交際にはとても前向きだった。としはるは、5年前に妻を病気で亡くしていて、20歳になる長女と23歳になる長男がいた。

長女は大学の近くに一人暮らし。長男はすでに就職し、こちらも一人暮らし。親子仲がとてもよかった。

あきが、あるときこんな相談を持ちかけてきた。

「としはるさんは、私とのデートよりも、お子さんとの約束が優先なんですよね。2週間ほど前に、『今度の3連休は、車を出すので遠出しましょう』とおっしゃっていたのに、昨日、『ごめんなさい。3連休は娘が帰ってくることになったので、一緒に過ごしてあげようと思います』と、キャンセルされました」

これに対して、筆者は言った。

「娘さんも、息子さんもいつかは独立をして、親から離れていきます。でも、もしも再婚をしたら、あきさんはとしはるさんと、毎日一つ屋根の下でこれからの人生を暮らすことになる。今お子さんを優先させているのは、むしろよいことではないですか?」

結婚生活が20年以上経ってから熟年離婚した。もしくは死別をした。そこから再婚しようという人たちは、すでに長年をかけて築いた一つの家庭があり、そこでの子どもたちとの関係もある。

お互いの家庭があって、その上に成り立つ再婚なのだから、前の家族の存在は丸ごと認め、その親子関係には口出しをしないほうがいい。

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あきととしはるは、焦らずに、ゆっくりとお互いの関係を育んでいる。

100組のカップルがいたら、100通りの関係の築き方があるだろう。年齢がいくつか、初婚か再婚かによっても、結婚への考え方は、違ってくる。今回紹介したのはほんの数例だが、自分にとっての結婚の落としどころを見つけて、お相手探しをしてみてはどうだろうか。

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラYouTubeも開設。

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