ニューオータニ、儲けるだけの再開発しない矜持 「ミスター総支配人」が語る究極のホテル作り

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例えば宴会部長は宴会場の中がどうなっているか、つねに見ている。だがそれが総支配人になると、玄関でご挨拶をするのが仕事になる。ある程度ポイントだけを指示して、あとは部門長に任せるしかない。

総支配人になった頃は週に1度くらいは客室をハウスユース(自身で宿泊利用)した。ゲストコメントレターをわかりやすい場所に置いて、宿泊客からのアドバイスや不満、お礼の言葉などを見る。自分で泊まるとそれらに納得できる。レストランなども自分の目で確認していた。

――業界はどのように変わりましたか。

1990年代前半にバブルが崩壊し、国内系ホテルが苦しんでいるときに新御三家(パークハイアット東京、フォーシーズンズホテル椿山荘東京、ウェスティンホテル東京)が進出した。

中途半端なホテルはなくなる

また1990年代からは複合ビルの中に入居するラグジュアリーホテルが出てきた。ラグジュアリーホテルをテナントとして入居させることで、ビルのブランド力が上がり、デベロッパーとしてはオフィスなど、ほかのテナントから高い賃料を取れるようになった。

ホテル業界の不況はますますひどくなり、早期の投資回収が見込める宿泊特化型ホテルがブームになった。収益性の低い宴会やレストランをやらないホテルが増えてきた。

ザ・メインの11、12階にはホテルインホテルのエグゼクティブハウス禅がある(撮影:尾形文繁)

――足元では外資系ホテルの出店が増える中で、ニューオータニはどのように戦っていくのでしょうか。

ホテルはものすごく高級なものとチェックイン・アウトなどが簡略化されたものに二極化され、中途半端なホテルはなくなると思う。われわれは60年ビジネスをしており、既存顧客を見捨てることはできない。どちらにも満足してもらえるホテルを作りたい。

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