日経平均、2万円割れが現実味を帯びてきた 外国人投資家は日本株を「売り逃げ」している

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ここで、TOPIX(東証株価指数)の(時価総額による)規模別株価指数をとり、大型株指数を小型株指数で割った比率を見てみよう。

「大型株指数÷小型株指数」の急低下が意味するもの

同比率は5月27日(水)に最近の最高値をつけ、その後急速に低下している。外国人投資家、特に短期筋は、通常売買高が多く大きな金額の注文を入れやすい大型株を使って、日本市場全体を売り買いするような形をとる。つまり大型株÷小型株比率の低下は、外国人短期筋がすでに5月下旬から、日本市場からの売り逃げを始めていたことを示唆している。

6月1日(月)まで日経平均は、バブル崩壊後の連騰最長記録となる12連騰をとげ、記録が途絶えた直後も、国内では「欧米株が軟調でも日本株は底固く下げは限定的だ、欧米株を売った資金が日本市場に流入しているのではないか」「日経平均はITバブル時の高値2万0833円を超えるだろう」という「浮ついた見方」が広がっていた。

しかし海外の短期筋は、そうした楽観をあざ笑うかのように、水面下で、すでに撤退を開始していたわけだ。その延長線上で考えれば、逃げ遅れまいとした売りがさらにかさんで、6月9日(火)に日経平均が大幅安したことは驚きではない。今後も海外株下落などにより、同様の「売り逃げラッシュ」が起これば、日本で何らの悪材料がなくても国内株価がたびたび急落することになりそうだ。

もちろん、6月10日(水)の黒田日銀総裁の衆議院財務金融委員会での発言を予想できていたかと言えばNOである。この日黒田氏が、具体的に「円がすでに安い」という示唆をする、とまではわからなかった。

しかし前号の当コラムでは、「5月27日(水)~5月30日(金)にドイツで開催されたG7(先進7か国)財務相・中央銀行総裁会議では、為替が全体の議題にはならなかったものの、日米財務相が、為替の急変動は望ましくないとの認識で一致、円安をけん制したという。その報道を受けて、円相場は少ししか動いていないが、市場では『G7と冷酒は後から効いてくる』との格言があり、今週以降円高をもたらす材料の一つとなりうる」と解説していた。今回も格言の通り、まさに後から効いてきたわけだ。

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