米国農地バブルを検証する[下]--北東部4州にまたがる巨大シェールガス田「マーセラス・シェール」争奪戦の狂乱

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土地のリース料も過去3年間にウナギ登りだ。あまりにブームが狂乱的なためまとまった統計はないが、地元紙の記事によれば、シェール・ガスが豊富な地域のリース料で見ると、2008年1月には1エーカー当たり100ドルだったものが、同年5月にはなんと2000ドルに跳ね上がったケースがあったという。

ピッツバーグ南西の町セシルでは、何人かの地主が1エーカー当たり4000ドル、17.5%のローヤルティ(土地使用料)というリース契約に調印しているという。リース契約は通常期間5年だが、契約と同時に全額前払いで支払われる。地主の中には、前払いで20万ドルを受け取った人もいる。その初期支払いを済ませると、掘削会社は採掘したガスの価格に応じてローヤルティを支払う。ペンシルベニア州法では、地主に対し最低12.5%のローヤルティを支払う義務がある。

通常1本のガス井を掘るには、1平方マイル(640エーカー)の用地が必要になる。そのため、それだけの用地を確保するためには多くの地主をまとめなければならない。その地域には何人かの人たちが集まり、掘削会社と交渉するためにグループを結集している。そのグループの中には、09年時点で1エーカー当たり6000ドルで交渉しているところもあった。

10年2月には、三井物産が米国子会社Mitsui E&P USA LLCを通じて、アナダルコ・ペトロリアム社との共同開発事業に1エーカー当たり1万4000ドル支払った、という話も伝わっている。三井物産はなんと14億ドルを支払って、10万エーカーの権益を取得したという。

(ピーター・エ二ス特約記者、ニューヨーク在住、翻訳:伊豆村房一)

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