INPEXが豪LNG開発の販売先確保にメド、総事業費2兆円の巨大プロジェクト実現へ大きな前進

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残る400万トン分の枠についても、「国内の大口需要家5社と話が進んでおり、すでに基本合意まで最終的な手続きを残すのみの段階になっている」(INEPXの広報・IRユニット)という。同社は5社の社名について明らかにしていないが、電力・ガス会社の中でも特にLNG調達量の多い東京電力、東京ガス、大阪ガス、関西電力などが交渉相手だろう。

自国内の天然ガス資源が乏しく、かつ、資源国からガスを引き込むパイプラインもない日本は、年間約7000万トンものLNGを輸入する世界最大のLNG輸入国。しかも、東日本大震災による福島第一原発の事故を機に日本の原発政策は大幅な見直しを迫られ、代替の火力発電燃料となるLNGの重要性は従来以上に高まっている。そうしたなかで、仏トタルの技術協力を得てINPEXが天然ガス田の開発生産から液化プラントの操業まで一手に取り仕切る今回のイクシスは、日本企業が事業主体を務める初のLNG開発プロジェクトになる。

もちろん、INPEXにとっても、このプロジェクトの成否が会社の未来を左右する。事業規模や投資金額の大きさに加えて、「これだけの大規模な開発に成功すれば国際オペレーターとしての大きな実績となり、新たな開発権益獲得のチャンスも高まる」(同社幹部)からだ。投資決行に向けた最大の課題だった販売先確保にメドがついたことで、INPEXの社運をかけた大型LNG開発プロジェクトは実現に向け大きく前進した。

(写真は西豪州北沖合200kmに位置するイクシス・ガス田における埋蔵量確認のための掘削作業風景、会社提供)

(渡辺 清治 =東洋経済オンライン)

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