新幹線開業から3カ月、北陸2空港の"今" 小松、富山の両空港はどうなっている?

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小松空港は金沢市の中心から車で40分かかる。交通アクセスは必ずしもよいとはいえない。しかし、「市内から遠いことはメリットにもなりうる」と、石川県で航空政策を担当する庄司郁・企画振興部次長は反論する。

たとえば、首都圏の観光客が北陸旅行をする場合、往路は新幹線で金沢を訪問し、その後に加賀エリアや福井県に足を延ばすとしたら、復路は金沢に戻るよりも小松からの空路がむしろ便利となる。もちろん、往路を空路で、帰路を新幹線にするというパターンもありだ。

カギを握る「乗り継ぎ客」

小松空港は金沢市内から離れていることを逆手に取る戦略だ

石川県は、羽田を中継点とした需要の掘り起こしにも注力している。

羽田などの拠点空港を経由して地方の空港を行き来する乗り継ぎの割合は、国内線利用者全体のわずか6%程度にすぎない。そのため、庄司氏は「羽田乗り継ぎの拡大余地は大きい」と見ている。

北陸新幹線の開業をきっかけに、旅行先としての北陸地方の人気は全国的に高まっている。直行便がない県からも羽田経由で北陸に来てもらえば、羽田便の利用客がおのずと増えるというわけだ。

航空会社も支援を惜しまない。羽田経由で別々に購入する普通運賃と比べて5~8割安くなる割引を導入することで、乗り継ぎ利用の普及を促す。乗り継ぎ便をテコに地方路線の利用者が増えるのであれば、航空会社にとってもうまみのある話だ。

富山空港は小松空港とは違い、富山の市街地から車で15~20分程度。交通の便は極めていい。だが、東京駅から富山駅までの新幹線の所要時間は、わずか2時間08分。富山空港は小松空港より深刻な事態に追いこまれている。JALは2006年に富山空港から撤退。国内線では、ANAが羽田便を1日6便、札幌便を1日1便運航するのみだ。

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